落とし物

野生生物のなかでも、もともと生息数が少ないもの、夜行性のものなど、ふだん私たちが出会う確率が低い生きものたちがいます。猛禽類と呼ばれる鳥たちの多くも、そうした生きものの一つです。それが、思わぬ形で生息の証拠を得ることがあります。これは、その一つ。

ハイタカという小型のタカの、風切羽(かざきりばね)の一部です。このような落とし物を、フィールドサインと呼びます。

ハイタカ

1月17日に、博物館のボランティアさんのお一人が市役所に近い場所で拾われて、博物館へ持ってきて下さいました。じつは、この標本のおもしろいのは、羽根の付け根に骨がついている点です(生々しいので写真には入れていません)。いわゆる手羽の部分が丸ごとと、上腕骨までついていました。そもそもハイタカを襲って食べるというと、このあたりではより大きなオオタカか、ハヤブサくらいでしょう。

オオタカ

そして、それをまたこんなにきれいに肉をそぎ落とすとしたら、食べ残しを別の鳥がついばんだか?と推測できます。猫など獣類の場合は歯形が残りますし、噛みちぎってしまうのでこのような食べ痕になりません。
一つの自然の落とし物から、市街地での大小のタカの生息と生活のようすが垣間見えてきます。

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