あかつきトークライブ⑩

本日、さがみはら宇宙の日 金星探査機あかつきトークライブ を開催しました。
あかつきトークライブ 通算10回目となる今回は、JAXA宇宙科学研究所教授の中村正人さん(あかつきプロジェクトマネージャー)をお招きして「探査における失敗とは何か」をテーマにご講演をしていただきました。
一瞬ドキッとするプロマネならではのテーマです(^_^;)

「成功」とは? ・・・・・・「失敗しない」こと
探査機などの場合、何を持って「成功」とするかの基準(=サクセスクライテリア)を前もって決めてあるとのことです。

 ★あかつきの成功基準---------------------------
  ■ミニマムサクセスクライテリア
   雲が東西方向に1周する1週間にわたって、金星周回軌道上からいずれかのカメラによって
  画像を連続的(数時間毎)に取得し、全球的な雲の構造を捉える。
  ■フルサクセスクライテリア
   雲領域の大気構造が変動する時間スケールである2年間にわたって以下の全ての観測を
  行う。
   ○1μmカメラ(IR1)、2μmカメラ(IR2)、紫外イメージャ(UVI)、中間赤外カメラ(LIR)
   によって画像を連続的(数時間毎)に取得し、三次元的な大気運動を明らかにする。
   ○金星で雷放電が起こっているか否かを把握するために、雷・大気光カメラ(LAC)を
   用いた観測を行う。
   ○電波科学により金星大気の温度構造を観測する。
  ■エクストラサクセスクライテリア
   以下のいずれかを達成する。
   ○太陽活動度の変化に伴う大気構造の変化を捉えるために、4地球年を超えて金星周回
   観測を行う。
   ○1μmカメラ(IR1)により金星の地表面物性あるいは火山活動に関するデータを得る。
   ○2μmカメラ(IR2)により地球軌道より内側での黄道光の分布を観測する。
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こうして金星探査機あかつきのミッションを振り返ってみると、改めて、その大変さに気づかされます。

金星探査機あかつきは、2015年の金星との再会合の軌道に乗って、現在も運用が日々続けられていますが、探査機表面を覆っている断熱材の劣化の度合いが心配であり、太陽に近づくときの熱環境の厳しさが最大の山になるのではないか?とのお話でした。

小惑星探査機はやぶさが最後まであきらめずに“自己を高める努力をした”ように、“あかつきも決してあきらめない”とのプロマネの熱い思い、そして、講演の最後に、「本当の失敗とは成功基準云々ではなく、やるべき事があるのにそれを行わず、あきらめ失望してしまうこと」の言葉。
何事にも通じる胸を打つお話でした。

講演終了後は、「あかつき、金星出没表」作成の実習をしました。

追伸
ワイヤレスマイクの不具合につきましては、中村先生、そしてご参加いただいたみなさま、大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ございませんでした。次回以降、気を付けます。

★次回は4月19日(土)10時~
講師は、高橋幸弘さん(北海道大学大学院理学研究院教授・あかつきLAC担当者)です。

(天文担当 有本)


時節柄か?いつもに増してモテモテなあかつきくん(*^_^*)

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