火星隕石展示中

5月6日まで博物館のロビーで展示している「火星からやって来た隕石」について解説します。

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たいていの隕石では、隕石に含まれる微量の放射線同位元素の半減期から推定される「隕石ができた年代」が、いまから45億6千万年程度と、太陽系誕生のころであるのに対し、火星隕石ではせいぜい13億年前(2億年前というものも)と新しいのです。しかも、単に物質が集まったのではなく、マグマが固まった火成岩の特徴をもっています。
ということは、比較的最近まで、マグマの活動があった天体の一部ということになります。(月は30億年前に活動を停止)

NASAのバイキング探査機が1976年に火星に着陸し、大気の組成も調べました。火星隕石にわずかに含まれる気体(アルゴンなど)の同位体組成が火星大気のそれとよく一致したことなどから、火星から来た隕石であることが確実視されるようになりました。2014年4月現在、火星隕石は132個が見つかっています。

巨大な隕石が火星に衝突したときの衝撃で、火星から宇宙空間に放り出された岩石が数百万年、数千万年と太陽をまわり続け、ついに地球と出会い落下したものが火星隕石と見られています。地球上の物体を惑星間空間に飛ばすには、物体に秒速約11kmという猛スピードを与えなければなりませんが、火星では約5kmですみます。火星隕石には、ものすごい
衝撃が加わった痕跡も見つかっており、コンピューターによる数値実験でも、火星から地球に隕石がやってくることが可能であるとわかりました。

火星隕石が火星のどこからやってきたのか、という研究も行われています。2014年3月6日、アメリカの科学誌Science のオンライン版に、「火星隕石の大部分を占めるシャーゴッタイトは、火星のモハベ・クレーター(直径58km)ができたとき、宇宙空間に弾き飛ばされた」という論文が発表されました。
隕石の鉱物組成(カンラン石や輝石に富む)や年代がこのクレーターとよく一致したということです。鉱物組成や年代の正確さについては反論もあるようですが、火星で直接サンプルを採らないとはっきりしたことはわからないかもしれません。(天文担当学芸員 山田)

※この隕石はJAXA宇宙科学研究所を通じて東京大学の三河内岳先生からお借りしているものです。

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