プロミナー

使い込まれた望遠鏡です。コーワTS-2。

これは、先週末に実施していた新規収蔵資料のくん蒸が終わり、くん蒸していた部屋から出して収蔵庫へ移動した資料の一つです。これがなぜ博物館資料?
そう、これは高度経済成長期が終焉し、バードウォッチングがブームとなりつつあった昭和50年代、ベテランバードウォッチャーの必須アイテムだったものです。プロミナーとはコーワというメーカーの商標ですが、当時からつい最近まで、バードウォッチングに使われる望遠鏡の総称として「プロミナー」、あるいは略してプロミが使われていました。

昭和60年頃にはすでに光学性能が格段に優れた製品がいくつかのメーカーから販売され、主役の座は奪われていきました。しかし、この細身ですらっとしたフォルムと、渋い色合いは、子ども時代の私の憧れでもありました。プロミナーを自分で博物館資料にするなんて、年月を感じます。

このプロミナーは、撮影の必要があってベテランさんからお借りしたところ、もう使わないからとそのままご寄贈いただいたものです。幾多の探鳥行に同行したであろうプロミナー。これからは博物館で永久に保存されることになりました。
(生物担当学芸員 秋山)

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