今年のカワラノギクは…

相模川を代表する絶滅危惧植物であるカワラノギク。博物館では、2004年から河川管理者である神奈川県などのご協力いただきながら、保全地での生育実験などを繰り返してきました。
今年は、「桂川・相模川流域協議会」や「カワラノギクを守る会」による保全圃場が規模を拡げ、複数の保全圃場で、ある程度安定した生育環境が確保できています。そこで、博物館で管理する圃場は「手抜き」をしてみました。これまで年3回ほど行ってきた草抜きを1回だけにして、ようすを見たのです。その結果は、このとおり。
121031神沢05S
コセンダングサに被われてしまいました。
これは織り込み済みだったのですが、想定外だったのが、今年の渇水です。シュートを伸ばして花芽を形成する、もっとも水分を必要とする時期に降水が足りず、今年、開花しようとしていた株がことごとく枯れてしまいました。
わずかに咲いた株は、皮肉なことにコセンダングサに囲まれて、乾燥を免れたような形です。
121031神沢04S
河原である程度の面積でカワラノギクの圃場を管理しようとすると、膨大な労力がかかります。活動が持続するように、できるだけ省労力で自然に近い状態で咲かせられないか、目論みたのですが…。
121031神沢08S
しっかり除草などをほどこしている圃場は、満開。やはりしっかりと手をかけないと、利水、治水が発達し、外来種のパラダイスとなっている河原の環境ではカワラノギクは生きながらえないのかとちょっと考えさせられる結果となりました。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと パーマリンク