大震災での被災時、マンションのドアをバールでこじ開けて脱出しますか?

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認定NPO法人かながわ311ネットワークの主催する「マンション防災ワークショップ」に参加しました。

実際に熊本地震の際に対応したマンション管理会社の実例をもとに、生々しい話を聞いてきました。
上のタイトルへの答えは
●その時、閉じ込められたら「こじ開けて脱出するしかない」 が、
●そうなる前に「出来る事もあったはず」、
 です。・・・後悔先に立たず。

ドアの仕様や配管の材料・形状の見直しなどは大規模修繕工事の中に織り込んで実施するのが上策ですが、「耐震性向上」の考え方がなければ実際には工事仕様に反映されません。もともと居住者の中にマンションの構造に長けている人が居られるとは限りませんし、やるとしてもお金のかかる事でもあり、所有者の合意形成も必要となります。

大変なんですが、「やる」と「やらない」とでは結果に大きな違いが出てくる可能性があります。


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ここで聞いた「大変なストーリー」とは下記のようなものです。

①マンションの壁に亀裂が入り、ドア枠が変形して開かない!~閉じ込め発生。
②近隣の部屋の方々が総出で開けようとしたが開かない。止む無くバールを使ってこじ開けた。
③当然ドアは変形し、今度は閉めても閉まらない~鍵が掛けられない。
④仕方なく、ドアノブにチェーンをかけて南京錠で封鎖しようとした
⑤が、近隣のホームセンターには南京錠そのものが既に売り切れ・・・

このドアが「耐震仕様」であったら、バールでこじ開けなくても脱出出来たかも知れません。鍵がかからないがために防犯上居室に残る必要があり、避難所への一時避難が出来なかったなどという事もなかったかも知れません
(ご承知のように、「耐震性ドアに替えたから」閉じ込めは絶対に起きないとは言えず、マンション自体の耐震強度が上がるわけでもありません。が、「備えあれば、憂いが幾分か減る」のは事実でしょう。)

上記は、防災・減災対策のほんの1側面を切り取っただけですから、個別の事情により対策事項の優先順位が変わってくるのは言うまでもありません。
あなたのマンションでは、耐震性ドアより、もっと緊急性・影響度が高い部分があるかも知れません。


この講習での、私なりの結論は、
「机の下に隠れるのは、心掛け次第で出来る。」が、
「脱出口となるドアの耐震性確保」「漏水対策としての配管のフレキシブル化などは、確かな知識と計画性が無ければ出来ない」・・・それが避難生活に決定的な影響を及ぼす。

まずは「知ること」から始めたいとワークショップに参加しましたが、平時に計画的に事を運ぶのも、発災の非常時にお互いに支えあうのも、結局「日頃の顔の見える関係」がものを言うという事になります。知ってる人、知りたい人が集まって情報交換する場が出来たらよほど心強いかな・・・・と感じました。(さ)

(写真は、上記NPO法人かながわ311ネットワークの講義資料から引用させていただきました)