黄色いけどアオジ

博物館の周辺の樹林には、林床(りんしょう)がヤブになっている場所が少なくありません。冬、そんな場所に決まってやって来るのがアオジという鳥です。

アオジ(オス)

上の写真の個体はオスですが、どこがアオジ?という色合いです。「森の木々が青々と茂り・・」というように、もともと「あお」は、現在の緑と青を含む色合いを指していました。古語ではさらに広く、寒色系の色全体を「あお」と呼んでいたそうで、灰色も青も緑も、「あお」となります。
アオジの頭はややオリーブ色がかった灰色で、これを指して「あお」となったようです。ちなみにメスはこちらです。

アオジ(メス)

「あお」というより、黄色が目立ちますし、実際、アオジの識別には胸の黄色が決め手になります。
ただ、鳥の名前には現在の青色ではない「あお」がよく使われています。下の写真の鳥はアオサギです。

アオサギ

灰色の部分は確かに青灰色(せいかいしょく)ですが、青色ではないですね。ほかにも、緑色のアオゲラというキツツキ、アオバトという緑色のハトなど・・。
逆に、青い鳥はオオルリ、コルリ、ルリビタキと、瑠璃(るり)がついています。比較的新しい時代に和名が付けられた海外の鳥のアオガラやアオショウビンは見事な青色ですが、古語で表現されなかったということなのでしょう。
なお、方言の古語の中には「あお」に黄色も含まれていたという説もあるので、アオジの種名はそこに由来している可能性もあります。

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勝坂でバードウォッチング

1月19日、市内南区の国指定史跡、勝坂遺跡で「勝坂を学ぼう!自然観察 冬の里山でバードウォッチング」(文化財保護課主催)が行われ、お手伝いに行ってきました。前日の雪から一転、これ以上無いような快晴に恵まれました。

快晴の谷戸を歩きます

前日の悪天候からの晴れなので、鳥たちの動きも活発です。食べ物探しに忙しい鳥たちは、なかなかゆっくりと姿を見せてくれなかったのですが、それでも地面で採食するツグミや・・

ツグミ

今年は飛来数が多い冬鳥のシメはしっかり全員で見られました。

シメ

みなさん、双眼鏡の扱いにちょっと苦戦していましたが、なんとか視野に納められたようです。

双眼鏡の使い方はちょっと難しい・・

一番の見どころは、エナガの群れだったでしょうか。ちょっと高い枝にいたので、下から見上げる角度になりましたが・・

真下から見上げたエナガのお腹

その小さな体とせわしなく動き回る姿を楽しむことができました。

カワイイお顔が見られたかな?

26名の参加者と、勝坂遺跡のガイドボランティアのみなさんと勝坂の谷戸と遺跡をゆっくり歩き、午前中の2時間弱の中で、19種類の野鳥を観察することができました。
※ここで使用した野鳥の写真は、過去に博物館周辺で撮影したものです。

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シメの風切羽

相模原市立博物館は本日、1月16日まで機器設備等のメンテナンスのために休館となっております。明日17日から通常開館します。
さて、博物館のまわりの樹林や駐車場には、冬鳥のシメという鳥が来ています。この時期は群れることはなく、たいてい単独で生活していますが、ピチッという特徴的な声ですぐに見つけられます。

シメ

オスは頭の黄金色が美しいのですが、よく見るとちょっと怖い顔をしています。

ちょっといかつい、オスのシメの顔

そして、あまり目立たないのですが、シメにはこんな美しさもあります。翼の先端近くにある風切羽(かざきりばね)の形と色です。

シメの風切羽の先端

風切羽の中でも先端近くの初列風切(しょれつかざきり)という羽根は、ふつうは羽根の先端がゆるやかな流線型になっています。しかし、シメの場合は初列風切の一部の先端がトゲのように出っ張っていて、しかも青色光沢があるのです。
このような羽根の特徴はオスにもメスにもあり、なぜこのような装飾が施されているか理由はよくわかりません。
鳥の羽根の造形は、不思議なことばかりです。

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ただのカラス・・ではないカラス

ここにあげた写真は、市内でも県内でもなく、群馬県で撮影した写真です。

田んぼのカラスはよく見る光景ですが・・

冬の田んぼに群れるカラスというと、特段珍しくもなんともないのですが、じつは、神奈川県内ではあまり見られない種類が写っています。
これは、ミヤマガラスという冬鳥のカラスなのです。

嘴が細めで、銀灰色に光るのが特徴です

県内では通常、ハシブトガラスが住宅地などに多く、可燃ゴミを荒らしたりして社会問題にもなっています。上の写真のような農耕地など開けた場所にはハシボソガラスが多いのですが、両種はどちらの環境でも生息しているので、どちらも馴染みのカラスです。
ミヤマガラスは北関東などでは冬になると見られ、数十羽の群れが広い水田地帯などに飛来するのですが、神奈川県まではあまりやってきません。
そして、ミヤマガラスの大きな群れがいるときは、注意深く探すと中に小さなカラスが混じっていることがあります。

ミヤマガラス(左)とコクマルガラス(右)

ミヤマガラスは、ハシボソガラスより一回り小さいのですが、さらに小さなカラスです。これは、コクマルガラスと言います。

コクマルガラス(暗色型)

このカラスの羽色は不思議なことに、暗色型と淡色型があり、どちらもミヤマガラスの群れの中に混じっていることがあります。上の個体は暗色型です。淡色型は白やグレーが混じり、シンプルながらかわいらしい姿をしています。県内でも記録はありますが、とても珍しい鳥です。相模原市内では、2000年と2004年に記録があるだけです。同じ関東地方なのに、鳥類相にはずいぶんと違いがありますね。

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カワラノギクのタネ

博物館で栽培している相模川産のカワラノギクが今、結実しています。

カワラノギクの綿帽子(タネ)

昨年の台風19号による大水で、市内緑区にある保全圃場の一部が流失しました。

台風による大水で流されたカワラノギク保全地(昨年12月撮影)

そこで、博物館で育てている株のタネを播いたり、栽培して発芽した株を移植しようと考えています。
タネはこんな形です。冠毛(かんもう)と呼ばれる綿毛はまばらで毛足も短いので、タンポポのように空中に浮かぶことはありません。
河原の丸石の隙間に引っかかるための毛ではないかと言われています。

カワラノギクのタネ

大水が出た後の河原は、栄養分がたっぷりあります。きっと今年から来年にかけて、立派な株に成長してくれるはずです。
ところで、カワラノギクは開花すると枯れてしまいます。
でも博物館では冬越しの株がいくつもあります。

カワラノギクのロゼット

タンポポの葉のように、地面近くの低いところに葉を広げて冬越しする葉のことをロゼットと言いますが、カワラノギクのロゼットは、地上茎が少し伸びて地面に着かない独特の形態です。
これは、ゴロゴロと丸石が敷き詰められた河原では当然の形で、石の隙間から発芽して伸びるためです。また、暑い時期には直射日光で焼けた石の表面に当たらない工夫とも言われています。「河原」と名の付く植物ならではの工夫ですね。

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新年、開館しています!

明けましておめでとうございます。相模原市立博物館は昨日、1月4日から通常開館しています。
新年らしい鳥の写真でご挨拶・・

ジョウビタキ(オス)

住宅地などにも普通に見られる冬の鳥で、紋付き姿が凜々しいジョウビタキ(オス)です。
そして、おめでたい雰囲気の赤い鳥、ベニマシコ。こちらは市内では相模川のヨシ原や、林道沿いの明るい林縁などで見られます。

ベニマシコ(オス)

もう1種、翼の緑光沢が美しいタゲリ。こちらは相模川沿いの水田などに少数が飛来します。それにしても、立ち姿がとってもキュートですね。

タゲリ

博物館は本日1月5日、学習資料展の展示室内でチャレンジ体験コーナーを開催しています。
明日月曜日は休館となります。
本年も相模原市立博物館をよろしくお願いします。

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メガネドヨウグモ

今から1週間ほど前、街路樹に張られたクモの網を見つけました。

朝見かけたクモの網


形状から推測すると、どうやらアシナガグモ科の一種の網のようです。汚れや傷みがないので、張ってからそれほど時間は経っていないでしょう。
年末のこの寒い時期に果たしてどんなクモが張ったのか気になりましたが、周囲を探しても見つかりません。
その後、この前を通るたびに気にしていたのですが、昨日の夕方、ようやく網の真ん中で昆虫を捕食しているところを捕まえました。
メガネドヨウグモ(幼体)です。

メガネドヨウグモ(幼体)


川の近くでよく見かける種なのですが、近縁の他種に比べてさほど水辺に依存していないのか、博物館周辺にも時々出没します(近くに川はありません)。

隠れている時のスタイルがこれ。

隠れているときは脚を伸ばしています。頭胸部の斑紋に注目。

脚を思い切り伸ばして細い隙間に入ってしまうので、なかなか見つかりません。
ちょっと面白い名前の由来は、頭胸部にある黒い模様の中にある丸い斑紋を眼鏡に例えたものです。残念ながらこの個体の斑紋はあまり眼鏡という感じがしませんが、なんとなく人の顔っぽくも見えるのでそう的外れでもないかな、とも思います。納得感が薄くて申し訳ないのですが、恐らく幼体なので模様のつき方が多少違うのではないかと思います。大目にみてやってください。いずれにしても他種と見分ける特徴的なポイントなので、覚えやすいのはうれしいかぎりです。

さて、撮影が終わったこの個体は、元いた場所に戻します。
無事年を越して、成体になったら、どんな斑紋をしているのか改めて確認したいものです。

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今年の開館日は明日、12月27日までです!

今年も残すところ1週間を切りました。
博物館の開館は明日12月27日が最終日です。12月28日~1月3日まで年末年始休館となります。
来年もこんな感じで・・

ミサゴです!

せーの!

ランディング!

勢いよく新年から飛び立ちたいと思います!
新年は1月4日からの開館となります。来年も相模原市立博物館をよろしくお願いします。

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オシドリの色

市内で冬鳥の調査をした12月23日、調査中にオシドリが飛び立つところを撮影しました。
拡大してみて、改めてオスの色の艶(あで)やかさに感嘆してしまいます。

オシドリのオス

いくつの色が重なり合っているのか、数えることすら無駄に思えるほど、複雑な色合いをしています。
一方、地味と言われるメスですが、それはオスと比べてのこと。「地味」で片付けてしまうのはもったいない、美しさがあります。

オシドリのメス

かわいらしい眼の縁取りや翼下面の渋いコントラスト、脇の鱗模様など見どころ十分です。
ところで冬はペア形成の季節。オスの美しい羽根はメスへアピールするための勝負服と言えるものなのです。

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「火山灰を顕微鏡で見てみよう」を開催しました

12月22日に「火山灰を顕微鏡で見てみよう」を開催しました。

地層から採集した火山灰を中心に、日本各地の火山灰を顕微鏡で観察できるイベントです。22種類の火山灰を用意しました。

参加された方がプレパラートを自由に選んで観察します。メモを取りながら全ての火山灰を観察された方もいます。

火山灰中の鉱物の洗い出し作業も体験もできました。洗い出した鉱物は、お土産として、お持ち帰りできます。

例年に比べて参加者は少なかったのですが、時間をかけてゆっくりとご覧になった方が多かったようです。

今年も、相模原地質研究会や弥栄高校サイエンス部など、ボランティアの方々にご協力いただきました。ありがとうございました。

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