月に因んだ名前のクモ

昨日9月13日は中秋の名月、そして今日14日は満月だそうですが、今日たまたま月に関係ある名前のクモを見つけました。
その名もカグヤヒメグモ(学名:Parasteatoda culicivora)。

カグヤヒメグモ

博物館の外柵にぶら下がっている枯葉の裏をのぞいたら、卵のうをガードしていました。
体長は5mm前後。家の周りによくいるオオヒメグモに似ていますが、どちらかというと、林の周辺で見られるクモです。

オオヒメグモ

オオヒメグモと比べると少し優しげな色彩をしていますが、さすがにかぐや姫というのはどうなのか、という気もします。実はこのクモの和名は、月に因んだ学名「 lunata=ルナータ(月の)」からつけられたもの。ただ残念な事に、その後違う種である事が分かったため、現在のカグヤヒメグモは「culicivora=クリキヴォラ(蚊を食べる)」という、だいぶ雰囲気の違う学名がついています。

「かぐや」のパネル

ところで、このクモがいた場所の斜向かいには、こんなパネルが掲示されていました。
月周回衛星「かぐや」。博物館のお向かいにあるJAXA宇宙科学研究所の外柵ディスプレイです。
カグヤヒメグモの前に「かぐや」。ちょっとした偶然です。

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白露を過ぎても猛暑・・植物野外調査(9月11日)

季節的には秋なのですが、今週は連日猛暑が続いています。そんな中、相模原植物調査会のみなさんと緑区の奈良本峠方面へ調査へ行きました。目的は、県内ではほとんど確認例の無い樹木がこの地域で見つかったという情報があるからです。

山道は気持ちの良い風が吹いていますが、風が止むと蒸し風呂です

博物館を出発するときに「こんなに暑くて野外調査大丈夫?」と心配されました。しかし、街中のアスファルトの道と違い、山道は少し風があれば、木陰は快適です。それでもやはり勾配のある所を歩くので、ものすごい量の汗をかきました。その分の水分をしっかり補給しながら歩いたのですが・・
今日の目的の植物はなかなか見つからず、そのかわり切り株ではこんなキノコが出迎えてくれました。

ニガクリタケ

かわいらしく綺麗な色のキノコですが、猛毒のニガクリタケです。
結局その植物は見つからず、今日は成果無しかも・・と下り始めたら、こんな植物を見つけました。

ヒトツバハギ

ヒトツバハギというミカンソウ科の低木で、相模原市内では初めての確認です。
猛暑の中をがんばって調査した甲斐がありました。
帰り道、こんな昆虫にも出会いました。アシグロツユムシです。

アシグロツユムシ

スマートできれいな虫で、近づいてよく見るとかわいらしい顔をしています。

アシグロツユムシの顔

さらに下ると、フクラスズメという蛾の幼虫がいました。

フクラスズメの幼虫 派手すぎですね

ちょっと古いけど、イナバウアーしてます。
もう少し季節が進めば、歩きやすい気候になるはずです。今回は早めに切り上げることにしました。

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ジョロウグモが繁殖期

最近、博物館周辺のジョロウグモの網でオスとメスが同居しているのをよく見かけるようになってきました。

ジョロウグモ(小さい方がオス)


こんな感じです(小さくて模様が地味なのがオスです)。
オスが複数いる場合もあります。

この網にはオスが4匹います


オスがメスの網に侵入して、交接(クモの場合、交尾ではなくこう呼びます)の機会をうかがっているのです。

既に交接しているものもいました。

交接中。オスがメスに触肢を押し当てています。


オスが触肢(口元にある触角のようなもの)先端にある生殖器官をメスの腹部にある生殖口に押し当てています。
この写真のような姿勢になるには、オスはメスの腹側後方から近づかなければなりません。
そう思ってみると、まだうまく位置どりが出来ていないオスと、もう少しでメスに接触できそうなオスがいます。
といっても、うかつに近づけは餌と間違えられてしまいます。実際、もう少しするとメスに襲われて脚の数が減ったオスをちらほら見かけるようになるでしょう。

というわけで、こんな風にメスが食事中に間を詰めるのも一つの手段のようです。

お食事中のメスにアプローチするオス


この後も、メスに少しずつ触れたりして様子を見ながら近づいていく事になります。

子孫を残すためとはいえ、あまりにも命がけです。ちょっと無駄な事をやってるんじゃないかと心配をしてしまうのですが、ジョロウグモの仲間は1億6500万年前の化石が見つかっていますから、ずいぶん長い事この方法でやってきた事になります。
ここは自分の考えの浅さを反省すべきところですね。

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研修生日誌(9月7日)

こんにちは!9月2日から相模原市に研修生としてお世話になっている者です。
今日(9月7日)は一日、博物館の仕事について勉強させていただきました。
お昼頃には「生きものミニサロン」に参加し、ジョロウグモを観察したほか、ヘクソカズラのにおいをかいだり触ったり、名前の由来についてお話を聞いたりしました。
ジョロウグモの観察では、オスよりメスの方が大きいことや、体が頭と腹の2つに分かれており、腹から足が8本出ていることなどを確かめました。よく観察しながら、ジョロウグモの絵もみんなで描いてみました。

短時間ですばらしい絵を描いてくれました!

へクソカズラは、においが臭いことからこの名前が付いているという少し残念な植物で、日本語の名前だけでなく、なんとラテン語の学名にも汚いものという意味の言葉が使われているとのこと。でも、よく見てみると花はきれいだったり、手やおでこにくっついたりといった面白い性質をもっていることが分かりました。

花が鼻の頭にピッタリくっつきました!

おでこにもくっついた!

きれいにピタッとくっつきます

夕方には、植物標本の作成作業をしました。乾燥させた植物を台紙に載せ、動いたりばらけたりしないようにテープで固定する作業です。熱を当てると片面がのりのようにくっつく特殊なテープを使って、茎が曲がっているところや、花の根元などを固定します。

マウント作業中

作業をした後には収蔵庫の中も見せていただきました。いつ、どこにどんな植物があったのかを系統的に記録していくことで、植物の分布状況の研究や種の保存に役立てる役割があることを知りました。

これまで博物館では展示しか見たことがありませんでしたが、一日仕事を体験させていただきながら博物館の裏側を見て、博物館が地域社会や研究に果たす役割について深く知ることができ、とても有意義な一日でした。本当にお世話になり、ありがとうございました!

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とうとう開花、アメリカネナシカズラ

博物館で系統保存のために栽培中の絶滅危惧植物カワラノギクには、アメリカネナシカズラという外来のつる性寄生植物がとりついています。絶滅危惧種とは正反対の属性を持つそんなものをなぜ生やしているのかと言うと、アメリカネナシカズラはヒルガオ科で分類が少し難しく、開花、結実させて写真を撮っておきたいと考えたからです。
ただ、繁殖力の旺盛な寄生植物なので、ちょっと油断しているとあっという間に、こんな状態になります。

カワラノギクにとりついたアメリカネナシカズラ

カワラノギクの栽培株全体にひろがらないように、ブチブチとアメリカネナシカズラの茎を切るのですが、1週間も放っておくとすぐに隣の栽培株へ取り付いてしまいます。何しろ、こんなふうにカワラノギクの茎や葉へ寄生根と食い込ませて栄養を吸い取るからです。

寄生根をカワラノギクの茎に食い込ませるアメリカネナシカズラの茎

アメリカネナシカズラのつるを剥がしてみると、こんな感じです。

くしの歯のような寄生根

そして、9月5日、株の中心付近で開花していました。

アメリカネナシカズラの花

花を拡大すると、やはりヒルガオ科らしく花は一応、ラッパ状です。

花の拡大写真

寄生植物ということで自分で光合成をしないため、緑色の部分が一切ありません。
この植物が河原などで大繁殖しているさまは、まるでラーメンをぶちまけたよう、と表現されます。
栽培植物にとっては迷惑でしかない存在ですが、分類や生態を調べてみると、どうしても「おもしろい」植物だと思ってしまうのです。

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考古分野の博物館実習(前編)

6日間ある分野別の博物館実習のうち、考古分野も前半が終了しました。

考古分野の実習では、遺物の資料整理や鉄製品の保管処置、フィールドワーク、相模原縄文研究会(考古ボランティア)との普及事業の企画打合せなどを行いました。

石器の分類整理

遺物の資料整理では、収蔵庫に適切に保管するための再整理作業を行いました。扱った遺跡は縄文時代の嵯峨遺跡(緑区吉野)で、石器を出土地点毎に分けています。石器の分類は難しそう・・・。

遺物図のパウチ作業

遺物は整理箱に収納して収蔵庫に納めます。整理箱には何の遺物が入っているのか分かるように、発掘調査報告書の遺物図をパウチして一目で分かるようにしています。

鉄製品が動かないように収納

鉄製品は水分と酸素を避けて、サビによる腐食が進まないようにしなければいけません。今回は谷原(たにはら)古墳(南区当麻・中央区田名塩田)と津久井城跡(緑区根小屋)から出土した鉄製品を脱酸素剤等といっしょに封入するパッキング作業を行いました。皆さん初めての作業で、少し緊張気味です。

透過性の低いエスカルシートに鉄製品、脱酸素剤、インジケーター(酸素がぬけたかどうかを色で識別できる錠剤)を入れます。

シール機で加熱して空気が入らないように封をします。

完成です。酸素が抜けたか、しばらく置いて、インジケーターの色の変化を経過観察します。

無量光寺境内 一遍上人銅像

フィールドワークは、当麻に行きました。目的は実習後半で行う展示のためで、無量光寺境内の発掘調査で出土した江戸時代の陶磁器など、当麻の歴史を紹介してもらいます。無量光寺の他、当麻宿の発掘調査現場、当麻芹沢遺跡の調査地点、周辺の湧水など歩いて回りました。遺跡がなぜここにあるのか、読み取ってもらえたかな?

展示に向けてディスカッション

実習の合間をみて、展示の検討を開始してもらいました。当麻の出土品を取り扱うことだけ条件設定して、後は3人で自由に話し合ってもらいました。3人とも発掘調査現場などフィールドワークで感じたことが、展示のテーマやコンセプトにつながったようです。ホワイトボードいっぱいに意見を整理して、意欲的に取りかかっています。

さてさて、どんな展示になるのか楽しみです。

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チャイロスズメバチ

いつも色々な昆虫が集まってくるクヌギの木。
ふと気がつくと見慣れないハチが。

チャイロスズメバチ。体長は働きバチで20mm前後。


チャイロスズメバチです。
腹部は黒くて縞模様はなく、頭や胸も赤茶色をしているという、ちょっと見た目が変わったスズメバチです。
生態も変わっていて、モンスズメバチやキイロスズメバチの巣を乗っ取って、相手の働きバチに子育てを手伝わせて繁殖します。
この特殊性があるためか比較的珍しいスズメバチと言われており、市内での記録はなく、神奈川県内でもほとんど例がありません。
ここ数年、博物館周辺ではキイロスズメバチを見かける事が増えた印象があります。もしかしたらチャイロスズメバチにとって、住み良い環境が整ってきているのかもしれません。
ただ、いくら珍しいと言っっても強い毒を持つスズメバチの仲間です。
見つけてもむやみに近づいたりしないように気をつけてください。

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受講者募集中!花の観察と植物画

植物を観察する方法の基礎である「スケッチ」を学びませんか?
毎年実施している植物学教室「花の観察と植物画」を今年も10月5日(土)と12日(土)に実施します。
講師は植物画家の豊田路子さんです。

昨年の教室の様子

和やかで楽しい雰囲気の中、植物観察の基礎と共にスケッチの手ほどきを、プロの画家から直接受けることができます。

昨年の受講者の作品

お申し込みは、往復はがきで9月15日まで受け付けています(必着:お申し込み多数の場合は抽選)。
15歳以上の初心者の方が対象です。
詳しくは博物館ホームページをご覧下さい。
この機会に、植物学と植物画の基礎を一緒に学びませんか?

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尾崎咢堂記念館にて資料公開「戦後の日記帳」を開催中!

8/31(土)より博物館所管施設の尾崎咢堂記念館ロビーにて、尾崎咢堂関係資料紹介「戦後の日記帳」を開催しています。

8/30に行った準備風景

今回展示している主な資料は、昭和20年、21年、22年、24から25年の日記帳で、咢堂の四男行輝の孫尾崎行和氏が保管していた貴重な資料です。

日記帳4冊・・・昭和21年以後は新日本」とある

日記帳で注目すべきは、表紙に「新日本●年」と記され、咢堂が終戦を機に新たな日本になることを強く意識していたことが窺えます。

「新日本●年」との記載

各日記帳では、昭和20年8月15日の終戦の記述や昭和25年の米国行きの経過などの部分を紹介しています。

昭和20年8月15日の記述(右上)・・・御前会議にて降伏・・・とある

また、昭和21年には「民主主義放送吹込み」と、レコードへのに吹込みと思われる記載があり、同年吹込の記録がある当館所蔵の咢堂演説レコードも展示しました。このレコードは尾崎咢堂記念館でCDで聞くことができます。

また英語に堪能な尾崎咢堂なので、月はすべて英語で表記されている点なども注目してみてください。

今回の資料紹介は10/6(日)までです。
ぜひ尾崎咢堂記念館にご来館いただき、日記をとおして尾崎咢堂への関心を深めていただければ幸いです。

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出てきたのは意外なクモ

カタハリウズグモの網があったので「一応、写真を撮っておこう」というくらいの気持ちで撮影していると…

カタハリウズグモの網。うず状の隠れ帯がきれいです。


網の白い渦巻き(隠れ帯)の部分からぎこちない動きでクモが出てきました。

カタハリウズグモではないクモが出てきました。


が、どう見てもウズグモの仲間ではありません。
頭の中は疑問符がいっぱいの状態でしたが、様子を見ていると、ポトッと地面に落ちたのはマミジロハエトリ。

マミジロハエトリでした。


これはかなり意外でした。クモが他種の網に入ることは、決して珍しい事ではないのですが、ハエトリグモの仲間に関して言えば、沖縄などに生息するポルティアハエトリ以外では、聞いた事がありません
この網の主はどうなったのでしょうか。近くにそれらしき姿は見当たりません(翌日もこの網は留守のままでした)し、マミジロハエトリが獲物を抱えている様子もありません。どうやら捕食目的の侵入ではなさそうです。
それにしてもどうやって網の下側にとりついたのか、カタハリウズグモはどうなったのか、謎ずくめの出来事でした。

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