春の雪

3月29日、博物館は休館中ですが、職員は出勤しています。
前日までの春爛漫の陽気から一転、春の雪が降っています。気温も低めなので、雪の結晶の撮影にチャレンジしてみました。

雪の結晶は六角形が基本です

マクロ(近接)撮影に強いコンパクトカメラを片手に持ち、もう片方の手には背景を黒くするための板を持っての撮影です。
六角形の結晶の形がハッキリ残ったまま地上へ到達するものは少なく、まして春の雪で結晶同士がたくさんくっつき合ったぼた雪なので、撮影はなかなか難しかったです。それでもいくつか、美しい結晶の形を撮影できました。

見とれてしまうような美しさです

上から降ってきた雪に当たってつぶれなければ、しばらくこの形を保っています。「雪の結晶は天からの手紙である」と名言を残したのは、北海道大学低温科学研究所の故中谷宇吉郎博士です。美しい六角形を見ていると、自然の不思議を感じます。

数千メートルの上空からの手紙・・

道路脇で咲き始めていたナガミヒナゲシの花は、春の雪に迷惑そうな様子で下を向いていました。

雪にうなだれたナガミヒナゲシ

博物館は4月13日(月)まで休館が続きます(3月29日現在)。今後の休館、再開の情報についてはホームページで随時お知らせ致します。

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フデリンドウ開花!

博物館お隣の樹林地で、フデリンドウが開花していました!

今年最初の開花を確認したフデリンドウ

例年より少し早めですが、まだほんの数株だけなので、見つけるのは至難の業です。
見ごろは来週後半くらいになりそうなので、その頃にまた開花状況をお知らせします。

※相模原市立博物館は4月13日(月)まで臨時休館期間が延長しました(3月26日現在)。

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ちょっとお引っ越ししたスライム

ここは博物館お隣の樹林地で、駐車場に隣接した一画。昨年の台風で幹が折れてしまったミズキに近づいてみると・・

幹が折れたミズキに近づくと・・

幹の様子がヘンです。あり得ない色(蛍光色のオレンジ色!)が幹にこびりついています。

幹に蛍光色のオレンジ色が!

と、不穏な書き方をしてしまいましたが、これは博物館の駐車場では毎春の季節の風物、スライム・フラックス(スライム状のかたまり、フラックスは溶剤の意味)です。正体は、菌類のコロニーなのですが、ミズキは水分の多い樹木で、枝が折れたりするとそこからポタポタと水滴を落とします。台風で痛んだ枝や幹から、春になって樹液がしみ出て、そこに含まれる糖分などを栄養に樹液酵母と呼ばれる菌類などがコロニーを作る現象です。

近づくとますます異様です

見た目の色や形状が異様なのでちょっとビックリしますが、毒があるわけでもなく、樹勢の衰えた木や、強剪定されたり、台風などで枝折れが生じたりするとできやすくなるようです。じつは、一昨年までは駐車場の真ん中あたりのミズキにできていたのですが、一昨年、台風で倒れかけて伐採されました。今年は少し離れた場所の木に再び鮮やかなオレンジ色のスライムが形成されたということになります。

樹液が滴るスライム・フラックス

樹液がスライムを伝ってぽたりぽたりと落ちていました。スライムはまだまだ増殖していきそうです。

※博物館は3月31日(火)まで臨時休館の予定です(3月24日現在)。

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意外に身近な多様性(クモ)

クモというと、網を張って獲物を待ち構えるイメージが強いと思いますが、網を張らずに獲物を捕らえる種類もいます。
例えば、今日見かけたのはウヅキコモリグモ。
通勤途中、目の前を走っていました。

ウヅキコモリグモ。車道を走って横切っていました。


コモリグモの仲間は英語で’wolf spider’と言います。いかにも狩りをしそうなイメージですね。この仲間は、卵のうを腹部につけて持ち歩いたり、子グモを背中に乗せて歩くことで知られています(それで「子守グモ」という名前がつきました)。

そしてこれはキシノウエトタテグモ(の住居)。

キシノウエトタテグモの住居


この写真では何だかわかりませんね。
棒でちょっとめくると、扉になっていて土中に住居が続いています。

住居の扉。トタテグモは「戸を立てるクモ」という意味です。


このクモは主に夜間、扉付近に待機していて、獲物が近くを通りかかると住居から飛び出して、あっという間に中に引きずり込んでしまいます。
掘り出せばクモを見ることもできますが、気の毒なので今回はそこまでやりません。

実はこの場所、駅前のロータリー脇。地面を覗き込んでいると、周囲からけげんそうな視線が飛んできます。
でも、こんな面白い習性を持つ生き物が身近にいるのですから、ぜひ皆さんに知っていただかなければなりません。多少の痛い視線は気にせず、断固としてしゃがみ込み、棒を拾い、扉をめくりながら写真を撮影しました。ちょっとそんな風景も思い浮かべていただけると幸いです。

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春のキノコと言えば

博物館お隣の樹林地では、コブシの花が満開です。

コブシの花

コブシが満開を過ぎ、サクラが咲き始める頃、あるキノコの仲間もシーズンを迎えます。

アミガサタケの仲間

アミガサタケの仲間です。樹林地内のある場所にまとまって発生していました。
欧州ではアミガサタケはモリーユなどと呼ばれて食材にもなるそうです(写真のキノコは近い仲間の別種と思われます)。それはともかく、この仲間の傘のヒダはハエをおびき寄せるようで、よく見るとたいていハエがとまっています。

傘にとまるハエ

やや近い仲間のスッポンタケのような強烈な臭いはしないのですが、なんとなく臭いが漂っていました。
キノコというとなぜか秋のイメージが強いのですが(おそらくマツタケの季節感に引きずられていますね)、真冬以外はいつでも何かしら発生しています。キノコのシーズンも本番を迎えつつあるようです。

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妖怪の芽生え

閉館中の博物館内は静まりかえっています。中庭は風の音ばかりが響いてちょっと寂しげです。
地面をよく見ると、今年もまた、あの妖怪が頭をもたげてきました。

毛むくじゃらの頭をもたげています

近くにはもう少し立ち上がって、正体を現しつつあるものも。

破れた傘のようなものが・・

・・と、ついそんな言い方をしてしまいたくなるのは、その植物名「ヤブレガサ」(キク科の多年草)のせいです。実際は白い綿毛が気持ちよさそうでかわいらしい芽生えです。

ヤブレガサの芽生え

植物の芽生えや崩芽の様子はなんだか動物っぽいものが多く、近くに植栽されているミヤマガマズミの崩芽も・・

ミヤマガマズミ

春の訪れにバンザイをして喜んでいるようですね。
こちらは、合わせた手を上に伸ばしているような崩芽の様子です。

合わせた手を上に伸ばしているような芽

ヤツデでした!

ヤツデの成葉

博物館は今月いっぱいまで閉館となります(3月21日現在)。中庭の元気な植物たちも、お客さんの視線を早く浴びたいだろうなと思ってしまいます。

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春分

3月20日は二十四節気の春分(しゅんぶん)です。それに合わせた祝日でもあります。
毎年春分の頃、開花のピークとなるシロバナタンポポが博物館お隣の樹林地で咲いています。

シロバナタンポポ

この真っ白なタンポポは、もともと西日本で普通に見られる在来種のタンポポですが、どういうわけか、博物館周辺ではぽつりぽつりと株が見られ、急激に増えるわけでもなく、でも数年にわたって同じ株を見ていると、枯れて消滅していきます。関東地方ではあまり長生きしない植物なのかもしれません。

真っ白な花弁に、黄色い柱頭と雄しべがおしゃれです

在来種のカントウタンポポも時々花色の薄いものがありますが、それは透けるような黄色になり、こちらのシロバナタンポポは絵の具の白で塗ったような白さです。黄色く見えるのは柱頭と雄しべです。
こちらが同じ場所で咲いているカントウタンポポです。

カントウタンポポ

博物館の駐車場のフデリンドウは、だいぶ立ち上がってきましたが、まだ少しつぼみが固いようです。

フデリンドウ(つぼみ)

ほかの早春植物が早め早めに咲き始めているのに比べると、フデリンドウは意外と頑固で、例年とあまり変わらない開花となりそうです。

※博物館は3月31日(火)まで臨時休館のため、考古企画展は4月1日(水)から開催の予定です(3月20日現在)。

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カントウタンポポも開花

3月31日まで休館中の博物館ですが(休館期間は3月18日現在)、周辺の生きものはすっかり春の様相です。前庭のカントウタンポポも開花しました。

開花したカントウタンポポ

在来種のカントウタンポポと、外来種との雑種の分布が拡大しているタンポポですが、博物館の前庭やお隣の樹林地内には在来種のカントウタンポポが生育しています。ただし、駐車場や道路際には雑種のタンポポが多いので注意が必要です(最終的には花粉を顕微鏡で観察しないと確定できません)。
公用車の駐車場で栽培しているオキナグサも満開です。

栽培しているオキナグサ

オキナグサは、市内でわずかな場所で自生している絶滅危惧種で、博物館でその系統を保存する目的で栽培しています。
例年よりもだいぶ早めの開花となり、市内の自生地の様子も確認に行かなくてはと、ちょっと焦っています。

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早春植物の生育環境調査

3月13日、相模原市緑区の希少な植物の生育環境を調査しました。これは、昨年の台風19号などで甚大な被害を受けた植物の生育地が多かったため、この時期でないと確認が難しい早春植物を中心に調査を行ったものです。
まず1カ所目は、自生のカタクリがある緑区の、とある渓流です。林内は倒木が多く発生していましたが、生育環境に大きな問題は無く、つぼみがたくさん見られました。

カタクリのつぼみ

カタクリの開花時期は、ソメイヨシノとほぼ重なります。つぼみの状況から判断すると今年はやはり早く、今週中には開花が始まりそうです。
沢沿いにはヨゴレネコノメがひっそり咲いていました。

ヨゴレネコノメ

続いて、フクジュソウの自生地へ。さすがにフクジュソウはほとんど花が終わっていたのですが、日陰の北斜面でわずかにまだ咲いていました。

フクジュソウ

ここも自生地の環境は問題ありませんでしたが、この地域へ向かう道の脇の植林地はあちらこちらで土砂崩れの跡が見られました。
次に向かった場所は県道沿いの植林地ですが、倒木を片付ける作業がアズマイチゲやキクザキイチゲの自生地で行われていて、重機と、小分けに切られた幹に被われていました。その脇でわずかにアズマイチゲが咲いていました。来年以降、復活してくれることを願います。

アズマイチゲ

その奥ではニリンソウが咲き始め、カタクリも1輪、開花していました。

ニリンソウ

カタクリ

この他にも、現地へ向かったものの復旧作業中で近づけない場所もありました。
帰りがけに相模川の河原に寄ると、ヒレンジャクが飛来していました。

ヒレンジャク

先月のブログでレンジャクとヤドリギについて書き、相模原市内にも飛来するかもと予測しましたが、やっと来てくれました。ちなみに、このヒレンジャクのフンはねばっていませんでした。すでにヤドリギを食べ尽くし、ほかの果実などを食べているのでしょう。間もなく、好物?のヤナギも開花するので、そこまでがんばって滞在してほしいですね。

※博物館は3月31日(火)まで臨時休館のため、考古企画展は4月1日(水)から開催の予定です(3月15日現在)。

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今年も見損ねたジグモのバルーニング

先日、このようなものを発見しました。

何の糸?


一見なんの変哲もない「クモか毛虫が出した糸」に見えますが、春先である事と、執拗に何度も重ねられたように見える外見等から、どうやらジグモの幼体がバルーニングをした痕跡だと推測されます。
「バルーニング」というのはクモが糸を空中に吹き流し、その糸にぶら下がったまま上昇気流に乗って空中を移動する行動を指します。そう、気球(バルーン)に乗るようにして空を飛ぶのです。
春先にジグモの幼体が、このバルーニングで拡散する行動はよく知られていて、私も二度だけ見たことがありますが、小くて頭でっかちのクモが右往左往しながら高いところに上がっていって、次々飛び立つ様は、見ていて飽きません。
ぜひ写真を撮りたいと思っているのですが、残念ながらカメラを持ち歩くようになってからは出くわすことがなく、このシーズンになるとかなり気をつけているのに、いつも空振りでがっかりしています。
今年は、痕跡に出会えたのでニアミスです全く気付かなかったよりましですが、よけいに悔しくもあります。そういえば前日は気温も高くて風も穏やかで、絶好の条件が揃っていました。今更気が付いても後の祭りですが。
それでも近くに他の個体群がいないか確認しながら歩いていると、別な種類のクモがいくつかいました。

マネキグモ


いつ見ても見事な擬態のマネキグモ。既にこのサイズという事は幼体で越冬したのでしょう。

マルゴミグモ


マルゴミグモ。水平円網の上に乗っかっている変なやつ。温暖化の影響で分布拡大しているという割には、こんな春先にしっかりと活動しています。

ギンメッキゴミグモ


ギンメッキゴミグモ。雑木林の定番ですが、庭先にも表れる銀色にきらきら輝くクモです。

今日は冷たい雨が雪に変わり、冬のような日ですが、生き物は一気に春へと向かっているようです。

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