とある休館日の一幕

3月18日(月)、相模原市立博物館は休館日ですが、自然・歴史展示室内にて大がかりな作業が進められていました。

手が届かない高いところもクリーニングします!

臨時休館期間中に実施した常設展示の保守の様子をブログでお知らせしましたが、この日はジオラマのクリーニングを行いました。
当館の自然・歴史展示室のジオラマには、市域に生育する植物を屋内に原寸大で再現したものや、市内で要職を務めた旧家の昭和初め頃の屋敷を復元したものがあります。日々の清掃だけでは取り除くことができない汚れなどを、プロの手で念入りにクリーニングします。

落下していた垣根の一部は掃除機で吸い取ります!

一見すると違いに気づきにくいかもしれませんが、蓄積されたホコリや内部の落下物などが確かに取り除かれました。植物のジオラマでは、葉っぱ一枚一枚を丁寧に拭き取って仕上げる、職人こだわりの手作業です。
次の開館日からは、きれいになったジオラマが皆さまをお迎えします。

“きれい”と言えば、当館エントランスにて「桜×中央区花手水」を3月28日(木)まで実施しています。春らしい色とりどりの花手水2種類が展示されていますので、ぜひご覧ください。

中央区花手水@市立博物館

また、中央区役所ではこれに関連したプレゼントキャンペーンを実施中とのことですので、相模原市中央区Instagramアカウントで詳細をご確認いただければと思います。

(歴史担当学芸員)

【博物館再開のお知らせ】相模原市立博物館は館内エレベーターの改修工事のため、令和6年2月29日まで休館しておりましたが、3月1日から通常どおり開館しています。3月のイベント情報など、詳しくはこちらをご覧ください。

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再開!生きものミニサロン

3月16日(土)、3か月ぶりの生きものミニサロンを実施しました。テーマは「スギ花粉をしっかり見てやろう!」です。このブログで予告したように春のお散歩観察会にしようと思っていたのですが、まだ咲いている花も少ないため、急遽変更しました。
そうして新たにテーマしたのは、3月に入ってますます脅威になってきた花粉症の原因物質である「スギ花粉」がどんなものか見てみようというものです。花粉は顕微鏡でなければ見えないので、まずは顕微鏡の使い方のレクチャーです。

顕微鏡の使い方をレクチャー

続いて、花粉の採集です。公用車の駐車場で、車の表面に付いた花粉を絵筆でふきとります。

公用車からスギ花粉を採取

ここ数日は晴れの日が続き、風も強めなのでたっぷり花粉がついています。慎重にスライドグラスへ花粉をのせています。

スライドグラスへ花粉を移します

顕微鏡の使い方に悪戦苦闘しながらも、花粉が見えるとみなさんで共有しています。

顕微鏡で観察

指につけた花粉を見せてくれています!黄色い!

指に着いたスギ花粉

スギ花粉はこんなかんじです。

スギ花粉

顕微鏡にスマホを密着させると、写真を撮れます。

スマホで撮影

他にも、オランダミミナグサやスゲの花粉を見ていたら、あっという間に30分が過ぎていました。次回は4月6日を予定しています。フデリンドウが咲いているはずなので、お花見観察会です。その後は今年と同様、第3土曜日を基本に実施していく予定です。詳しくは、来週以降に博物館ホームページをご覧ください。

(生物担当学芸員)

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令和5年度近現代史講演会、好評のうちに終了しました!

3月10日(日)、令和5年度近現代史講演会「渋沢栄一の近代産業育成~『忠恕(ちゅうじょ)』と『公益』~」を開催しました。
渋沢栄一記念館(埼玉県深谷市)資料解説員の河田重三(かわた じゅうぞう)氏を講師にお招きし、2021年放送のNHK大河ドラマ「青天を衝け」や、本年7月から発行・流通開始となる新一万円札の肖像として話題の人物・渋沢栄一について講演いただきました。

講師を務めた河田重三氏(渋沢栄一記念館資料解説員)

演題にある「忠恕」とは、「自分の良心に忠実であることと、他人に対して思いやりの深いこと、忠実で同情心に富むこと」で、「公益」は文字通り「社会一般や、多くの人々にもたらされる利益」の意です。23歳で故郷を出てから一橋徳川家に仕官、明治政府に招かれて務めた官僚を33歳で辞し、第一国立銀行頭取となった後、生涯にわたって世の中が豊かになることに尽力し続けた渋沢の原動力が、「忠恕」と「公益」という2つの言葉に込められています。

たくさんの方にご来場いただきました!

同時代に活躍した政治家・尾崎行雄(咢堂)の生誕地である本市での開催ということで、尾崎の東京市長時代や渡米に際して接点があったことから、尾崎からみた渋沢栄一評をご紹介いただきました。

また、お話だけでなく、渋沢家の生業である藍玉(=藍の葉から作った染料)商売にゆかりの資料として、藍農家を切磋琢磨させた番付表「武州自慢鏡(ぶしゅうじまんかがみ)勧進 藍玉力競(あいだまちからくらべ)」の実物や、藍染めの衣装をお持ちいただき、来場した皆さまも興味深くご覧になっていました。

藍色が美しい本物の藍染めです。

さらに、渋沢栄一の肉声による「道徳経済合一説」(渋沢史料館企画・監修『肉声で聞く渋沢栄一の思想と行動』より)を聞く時間を設けていただき、「目で見て」「耳で聞き」、渋沢の生涯や人物像、功績についての多くを知ることができる時間となりました。

講演後には来場者から多数の質問があり、講師の時間が許す限り応じていただきました。
やはり話題の人物がテーマとあって、会場の雰囲気も熱気が感じられました。

(歴史担当学芸員)

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令和5年度「縄文ムラの地形観察会」

3月10日に相模原市文化財保護課主催の「縄文ムラの地形観察会」が開催されました。相模原市南区磯部の勝坂遺跡公園周辺の地形と地層を観察しました。勝坂遺跡公園は縄文時代の遺跡が発見された場所に整備されており、縄文人がどんな場所で暮らしていたのかを歩いて感じる観察会です。

勝坂遺跡公園周辺は比較的短時間で相模野台地の特徴的な地形や地質をほとんど見ることができる地域です。狭い範囲にいくつも坂や谷があり、複雑な地形をしています。

観察会に出かける前に、地形や地質の概要を説明しました。

室内での説明の後、実際に野外に出かけて地形や地層、湧き水などを観察しました。

人が生活するために重要な湧き水の場所です。

地層も観察しました。

縄文人が見たかも知れない風景を地形学の観点から観察しました。

写真ではよくわかりませんが、谷の右岸と左岸では崖の高さが違います。崖の高さの違いも地形観察では重要なポイントです。

縄文時代の人々が歩いたかも知れない場所、見たかも知れない風景を、地形学・地質学の観点から歩いて観察しました。時間としては2時間ぐらいでしたが、盛りだくさんの内容の観察会でした。

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生きものミニサロン、再開します!

1月と2月は当館の休館に伴って休止していた生きものミニサロン、3月16日(土)12時から再開です!

過去のミニサロンの様子

だいぶ春めいてきた林内で、いくつかの春を探す、お散歩観察会を計画しています。お申込み不要、参加無料ですので、どうぞお気軽にご参加ください。

コブシの花 咲いているかな?

なお、4月からの来年度も生きものミニサロンを実施します。基本的に今年度と同様に実施予定です。今年度最終のミニサロン終了後に、ホームページ上で日程などをお知らせします。お楽しみに!
(生物担当学芸員)

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【伊勢×相模原】ふたつの尾崎咢堂記念館で同時展

本市緑区又野の尾崎咢堂記念館では、出張ミニ企画展「憲政擁護運動と尾崎行雄(咢堂)」を開催中です。その様子をブログでお知らせした際に、本ミニ企画展は「伊勢×相模原 尾崎咢堂記念館同時展」であることを予告していましたが、3月2日(土)から伊勢市の尾崎咢堂記念館でも展示が始まりました。

尾崎咢堂記念館(伊勢市)の展示の様子

こちらは相模原市立尾崎咢堂記念館の展示の様子

尾崎ゆかりの地に建つ‟ふたつの尾崎咢堂記念館”による同時展がついに実現しました。同時期に同じ展示を400㎞以上も遠く離れた場所で開催していることに、とても感慨深い気持ちになります。

伊勢版のポスターも!

嬉しいことに、伊勢市の尾崎咢堂記念館の学芸員によると、展示の観覧のために連日、来館者が訪れているそうです。展示スペースには相模原市立尾崎咢堂記念館の紹介パネルやパンフレット、本市作成の冊子なども配架いただいており、これを機に展示をご覧になった方が双方の尾崎咢堂記念館に来館いただけると…期待が高まりますね。

尾崎咢堂記念館(伊勢市)内の本市紹介コーナー

出張ミニ企画展「憲政擁護運動と尾崎行雄(咢堂)」は、本市では3月24日(日)まで、伊勢市では3月31日(日)まで開催しています。第一次護憲運動における尾崎の活躍について、尾崎の生誕地・相模原と立身の地・伊勢の2か所でご覧いただくことができます。この機会をどうぞお見逃しなく!
伊勢市の展示情報については、こちら(伊勢市ホームページ)をご確認ください。

(歴史担当学芸員)

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ヒレンジャクの食べ物

3月11日、博物館のまわりをたくさんのヒレンジャクが飛び回るようになりました。いくつかの群が分散して動いているようで、少なくとも50羽以上いました。ヒレンジャクの目的はこちらです。

ヤブランの果実を食べるヒレンジャク

ヤブランの果実を食べています。好物のヤドリギが無くなると、こうして地上に降りてヤブランをよく食べています。先日のブログで、コケをついばんでいる様子を紹介しましたが、ヒレンジャクはほかの鳥があまり気にも留めていないようなものを食べるようです。

ミズキの冬芽をつつく?ヒレンジャク

ミズキの冬芽をつついているので何をしているのかと思っていくつかの写真を拡大してみると・・

舌で冬芽の付け根あたりを舐めています

舌で冬芽の付け根を舐めていました。写真をいくつか確認すると、上を向いた健全な冬芽よりも、削れたり、折れている冬芽を選んでいるように見えます。ほかに、枝の折れた切り口あたりも舐めていました。

枝の折れた先を舐めています

どうやら、樹液を舐めていると推測できます。ミズキはその名のとおり、春先は傷ついた枝などから樹液をぽたぽたと垂らすほどなので、この季節はまさに瑞々(みずみず)しい状態です。若干ですが、糖分が含まれているはずなので、それを舐めているのでしょう。ミズキの枝を舐めるのは他の鳥では見たことがありません。
しばらくそんな行動を見せていたかと思うと、突如、博物館敷地内の水たまりへ集合しだしました。

水たまりで水浴びをするヒレンジャクの群

代わるがわる飛び込んで水浴びです。夢中で水浴びをしている様子が微笑ましいですね。
絶えず「チリィーリィー」と細く小さな声で鳴き交わす鳴き声といい、鋭い顔つきのわりに、とてもかわいらしい鳥です。

(生物担当学芸員)

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東林地区の歴史を歩いて学ぶ-探訪編-

先日、こちらのブログで東林ふれあいセンターの歴史講座の様子を紹介しました。この講座は、座学と探訪の2本立てのため、3月5日に第2回目となる探訪を実施しました。

座学編で紹介した中村新開「拓殖碑」を実際に訪れました。

当日は歴史スポットでの解説を挟みながら、受講者の皆さんと総延長5.9kmの行程を歩いて学びました。
まずは東林間駅東口のシンボル・「千代の松」からスタートし、中村新開「拓殖碑」や東林間神社を見学しました。

東林間の鎮守・東林間神社

東林地区は、横浜水道の地上を整備した「横浜水道道緑道」(水道みち)と、「相模原開発畑地灌漑(かんがい)事業」の水路跡である「相模緑道緑地」の交差地点という特徴があるため、今回の講座ではこの2つの道を歩いて学ぶことをテーマとしています。
これらの道は先週の座学で紹介したため、講義の内容をおさらいしながら実際に歩きます。このブログでも、過去に水道みち相模緑道緑地について紹介していますので、よろしければご覧ください。

相模緑道緑地を行きます。(南区相模大野と南区栄町の境)

途中、相模女子大学キャンパス内の軍都遺構である市登録文化財の「旧陸軍通信学校将校集会所」(茜館)と、市登録名勝「旧陸軍通信学校将校集会所庭園」(フランス庭園)を見学し、行幸道路こと県道51号を下ります。この道中にも、水道みちと相模緑道緑地に交わるポイントがあり、東林地区からの繋がりを意識しながら進みました。

南台二宮神社まで来ました。ゴールまであと少し…!

最後は、南台二宮神社とその近くにある中和田新開「新開記念碑」を見学して、小田急相模原駅で解散しました。この頃には雨足がかなり強まってきましたが、全員でしっかりとゴールすることができました。
午後から降り出した雨に加え、3月上旬らしからぬ寒さの中での実施となりましたが、折々で活発に発言や質問があり、皆さんの歴史への関心の高さがうかがえました。

また、当館エントランスでは、今回見学させていただいた相模女子大学が2025年に迎える創立125周年記念事業の出張展示を現在開催しています。ぜひご覧ください。

(歴史担当学芸員)

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県立生命の星・地球博物館で薮内正幸作品の魅力を語る

2月23日から始まっている、神奈川県立生命の星・地球博物館の企画展「動物のくらしとかたち-薮内正幸が描いた生態画の世界-」の関連講演会「薮内正幸に魅せられて―生態画の世界へようこそ」で、当館学芸員の秋山が講演を行いました。

神奈川県立生命の星・地球博物館 企画展のポスター

演者は3名で、薮内正幸美術館(山梨県北杜市)館長でご子息の藪内竜太氏と、鳥類画家の神戸宇孝(ごうど うたか)氏と秋山です。
竜太氏からは、動物画家、薮内正幸(1940-2000)の子ども時代から画家として独り立ちするまでのことを中心に、神戸氏からは、強い影響を受けた薮内作品の魅力について画家の視点から、そして秋山からは、子どものころからの薮内品への憧れや、一度だけ面会した際のエピソードなどを紹介しました。

講演の様子

小学生の頃に影響を受けた薮内作品

この講演会の様子はアーカイブ配信される予定です。

第2部のトークセッションの様子

薮内正幸氏は、野生動物に関心のある人だけでなく、児童文学の名作『冒険者たち』(斎藤 惇夫 作 , 薮内 正幸 画)などをとおして、そのお名前以上に作品そのものが知られた画家です。動物が大好きで、そのありあまる愛情が紙上へと注がれた作品群は今も多くの人を魅了しています。
企画展では、薮内作品と一緒に、そこに登場する動物たちのはく製が多数展示されています。学術資料としてのはく製と、その動物が生きる姿や躍動感を表す生態画の役割の違いがよくわかります。ちょっとお恥ずかしいのですが、秋山学芸員の素人生態画も展示されています。

左が秋山学芸員の作品、右は鳥類画家である神戸宇孝さんの作品

鉛筆画でも、線画でも、水彩画でも、その動物の魅力を最大限に引き出す薮内作品の数々をぜひご覧いただきたいと思います。神奈川県立生命の星・地球博物館は箱根登山線の入生田(いりうだ)駅を降りてすぐの場所にあります。企画展は5月12日までです。
(生物担当学芸員)

※写真はすべて神奈川県立生命の星・地球博物館提供

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啓蟄の樹林で

3月5日は二十四節気の啓蟄(けいちつ)です。冬ごもりしていた虫などがはい出るという意味ですが、外は寒空が広がり、雨も降ってきました。そんな中、前日の3月4日に博物館お隣の樹林地ではこんな鳥を見かけました。

ヒレンジャク(3月4日)

ヒレンジャクです。ここ数年、きまって啓蟄の頃を中心に飛来して、半月から20日ほど滞在します。多い年は80羽近い群れになったこともあります。今年はまだ7羽の群れですが・・。
ヒレンジャクは、ヤドリギの果実を好んで食べることが知られています。しかし、この樹林地にはヤドリギは3株ほどしかなく、しかも今年はあまり熱心に食べている様子がありません。

地面に落ちていたヤドリギの果実と葉

それよりも、地面の近くのヤブランの果実を盛んに食べていました。また、コナラの幹に着いているコケ類もついばんでいました。

コケを食べるヒレンジャク

コケ類は、巣材として利用されることはあっても、あまり鳥に食べられることはありません。ヤドリギも、ヒヨドリなどが少し食べる程度で、他の鳥はあまり好まないようです。ヒレンジャクの好みは不思議ですね。
足元では、シロバナタンポポが咲いていました。

シロバナタンポポ

もともと九州や四国の自生種ですが、種子が人や物の移動に乗ってきたのか、博物館周辺では数は少ないものの、毎年咲きます。カントウタンポポは少し遅れて咲きだすので、今年はまだ咲いていません。
ヒレンジャクの群の数が増えてくると、少数ですが、近縁のキレンジャクが混じることもあります。これから数が増えるのか、いつまでいるのか、樹林地からしばらく目が離せません。
(生物担当学芸員)

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