「はやぶさ2」を相模原市から観測するとしたら

まもなく地球に最接近し、地球スイングバイを行う「はやぶさ2」。当博物館の前天文担当学芸員をされたいた山田陽志郎さんが、最新データの「はやぶさ2」の位置を星図にプロットして送って下さったので、ここでご紹介したいと思います。

日本から観測チャンスの頃の「はやぶさ2」は、見かけの明るさが10等~11等級で(もう少し暗いという予報もあるようです)、肉眼ではもちろん見つけられない明るさです。星座の星々に対する動きが大きい(速い)ことから、望遠鏡で観測するのも簡単ではないようです。

ところで、はやぶさ2プロジェクトの「トピックス「はやぶさ2」の地球スイングバイ軌道が確定しました」http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20151202/ よると、「『はやぶさ2』が地球に最も接近するのは、ハワイ諸島の近くの太平洋上空で、その時の高度は約3090kmとなります。時刻は、2015年12月3日19時8分7秒ごろ(日本標準時)です。」とのことです。

「はやぶさ2」は、最接近より少し前の18時59分ごろに地球の影に入ってしまって観測できなくなるので、その少し前が当博物館からも観測のチャンスになります。

たとえ肉眼などで見えないとしても「あの星の近く(もちろん見かけ上ですよ。距離はまったく違います)を、いま『はやぶさ2』が移動している」と思いながら、夜空を眺めて応援してはいかがでしょうか?

「はやぶさ2」を相模原市立博物館から観測すると

上の星図は、観測地点として神奈川県相模原市中央区の相模原市立博物館を設定していますが、相模原市内各所や周辺市町村でも、正確な観測目的でなければ、星空の同じ位置にあると考えて問題ないようです。(たとえば、東京都庁を観測地点に設定た場合でもこのくらいのスケールの星図では、一見しただけでは違いが分からない程度でした。)

この星図には、「はやぶさ2」の位置が、18時45分から18時59分まで1分間隔でプロットされています。

「はやぶさ2」は、18時46分ごろ北極星のすぐ近くを通過します。このときの方位は、真北で地平線からの高さは角度で約36度です。

そのあと目立つ星の近くを通過するのが、18時58分ごろで、黄色い色の1等星・ぎゃしゃ座のカペラの近くを通っていきます。このときの方位はほぼ北東で、その時刻のカペラの地平高度は約32度です。

角度で地平高度を大雑把に図る場合は、地平線から天頂までが90度(直角)で、その半分が45度、3等分すると30度と60度、という様に空を眺めてみてください。(天文担当学芸員 岸)

 

 

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