イロハモミジ

今年の紅葉はパッとしないと、あちこちで言われています。博物館駐車場のイロハモミジも、しっかり色づかないまま枝に残るか、早めに落葉しているものが多いようです。

紅葉は、光合成と密接な関係にある現象です。気温が下がって光合成の効率が悪くなると、緑色に見えている光合成を行う色素が分解され、新芽や根に養分として送り込まれます。さらに光合成によって生成された糖分の残りが赤色の色素に変化することで紅葉の色が発色します。朝晩冷え込んで、しかも日中はお天気が良いとなぜかこうした色素の変化も劇的に起こるようで、発色が良くなると言われています。今年の秋は冷え込みが緩く日照時間が短かったようなので、紅葉の色が今ひとつなのかもしれません。
でも、そんな年も地面の上を見ればしっかり紅葉した葉を見ることができます。

イロハモミジの語源は、葉の切れ込みが7つであることが多く「いろはにほへと」と数えられることからついたと言われています(もちろん例外も多く、6枚だったり8枚だったりもします)。

別名のタカオカエデは東京の高尾山ではなく、紅葉の名所である京都の高雄に由来するそうです。
関東の山間にも普通に見られますが、山頂付近や尾根沿いの登山道で見られるのは植栽木です。本来は沢沿いのやや湿った場所に自生する木です。
(生物担当学芸員 秋山)

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