チョウと蛾(写真有)

連日、昆虫の話題となりお好きでない方には申し訳ないのですが・・
緑区のある場所で採られた(正確には荷物に紛れ込んでしまっていた)チョウ(蝶)が持ち込まれました。

ウツバシロチョウ 腹部の先に受胎嚢が付けられている

アゲハチョウのなかまのウスバシロチョウといいます。腹部の先に受胎嚢(じゅたいのう)があるので、メスということがわかります。受胎嚢とは、交尾をしたオスが、メスが他のオスと交尾できないようにつけるもので、ウスバシロチョウの場合はとても目立ちます。
ウスバシロチョウはその名のとおり、翅(はね)が半透明です。

名前のとおり、翅(はね)が透けています

顔をアップにすると、口吻(こうふん)がくるりと巻いています。

ストロー状の口吻(こうふん)

ところで、今博物館のまわりをたくさん飛び始めたキアシドクガの顔に、このような口吻はありません。

キアシドクガには口吻が無い

チョウや蛾のなかまは花の蜜や樹液などを、口吻を伸ばして吸うイメージがあります。しかしじつは、蛾のなかまの多くはこのように口吻を持ちません。つまり、成虫になると何も食べることなく、繁殖活動だけして1週間から10日くらいで衰弱して死んでしまうのです。
チョウと蛾は違うように見えて、じつは明確な区別点はありません。ワシとタカ、クジラとイルカなども、やはり分類学上の区別はなくて、だいたいのイメージで分かれているだけです。しかし、あえてチョウと蛾の違いをあげるとするなら、その一つがこの口吻です。チョウのほとんどに口吻があり、昼間、力強く飛び回って栄養をとりますが、蛾の多くには口吻が無く、弱々しく飛びまわるに過ぎません。ただしこれも例外がたくさんあって、明確な定義というわけではありません。

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