カザグルマ(自生地)の開花

4月30日、市内中央区のカザグルマ(キンポウゲ科)の自生地で開花を確認しました。先日、博物館で系統保存のために栽培している本種の開花をお知らせしましたが、その株のもともとの出身地です。

大きく開いたカザグルマの花

カザグルマは、神奈川県内では横浜市内の1か所と、相模原市内の中央区と緑区に数カ所の自生地が残るだけとなっており、県のレッドデータブックでは絶滅危惧Ⅱ類にランクされています。この自生地でも、フジなど他の植物の繁茂により存続が危ぶまれるため、移植や補植を何度か試みていますが、なかなか思うようには成功しません。ちなみに写真の株は、補植によって殖えた株ですが、もともとの自生株は現在、開花が確認できない状態です。

つぼみを合わせて10数花ついていました

つる性の樹木であるカザグルマは、樹林の林縁部や崖地の株など、ある程度日当たりが良く、なおかつ湿った環境を好むようです。栽培下で育てるのはそれほど難しくありませんが、自然の中では環境改変などの影響を受けやすい場所のため、保全が難しい植物です。今後も系統保存と共に自生地の状況を見守っていきたいと思います。
近くでは、タブノキの新芽が伸びていました。優しい色合いです。

タブノキの新芽

また、自生地に面した畑地では、オスのキジが「ケーンケーン」と鳴いてほろ打ち(翼を打ち叩いて音を出す、なわばり誇示の行動)をしていました。

キジのオス ほろ打ちの瞬間は撮影できませんでした

野鳥の繁殖期も本格的になっています。
(生物担当学芸員)

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