9月26日に日本地質学会関東支部主催の「2026年大月巡検~南部フォッサマグナの付加衝突帯の地質と甲州街道の酒蔵~」の講師を務めました。大月市の桂川(相模川の上流)で地層や岩石を観察しました。丹沢山地をつくる岩石や富士山の溶岩(ようがん)、昔の桂川の川原に堆積した砂礫層(されきそう)など、いずれも相模原と関係が深いものです。
まずは猿橋を訪れました。猿橋は日本三代奇橋の一つで、甲州道中(甲州街道)が桂川を渡るところに架けられています。珍しい構造をしており、はね木を両岸から張り出すように重ねて橋を支えています。猿橋が架かる渓谷の両岸には丹沢山地をつくる凝灰岩(ぎょうかいがん)が露出しています。

桂川にかかる猿橋。桂川は深い渓谷となっています。

桂川の岸壁をつくる凝灰岩は、1,200万年前の海底火山噴火によってつくられた岩石です。この岩壁から猿橋渓谷の成り立ちがわかります。
猿橋では、他にも約2万年〜約8千7百年前の間に噴出した猿橋溶岩と約2万の桂川の砂礫層も観察しました。
次に訪れたのは、大月駅の北方にある“象の鼻”です。猿橋で見られたのと同様の凝灰岩と猿橋溶岩を観察しました。ここでは、凝灰岩のすぐ上に猿橋溶岩が直接積み重なっているのがよくわかります。猿橋溶岩と凝灰岩の年代差は1千万年以上!地球のダイナミックな営みを感じることができます。このように異なる年代の岩石が直接、接しているところが見られる場所は意外と少なく、地質学的に重要です。

桂川に張り出した岩が象の鼻に見えることから、いつしか“象の鼻”と呼ばれるようになりました。
“象の鼻”から北側を見上げると、山腹に岩盤が露出している岩殿山(いわどのさん)が見られます。この岩盤は数百万年前にプレート境界で堆積した礫岩(れきがん)からできています。山頂には戦国時代の城跡があります。

“象の鼻”から見た岩殿山。中央高速道路やJR中央線の車窓からも見ることができます。
最後に大月市内にある酒蔵を見学しました。大月市の歴史や富士山信仰との関わり、仕込み水の水質と地形・地質の関係についてお話を伺いました。酒造りはその地域の歴史や文化と深く結びついており、日本酒の味を左右する仕込み水は地形や地質に大きく影響を受けています。

古くからの酒蔵は、その地域の歴史・文化・自然、すべてと関わっています。
一日中、雨が降り続ける中での観察会でしたが、参加された皆さんは熱心に観察していました。また、地形・地質はその地域の歴史・文化と深く関わっていることを感じていただけたようです。
(地質担当学芸員)


