抜かれない外来植物

今朝、通勤途中に撮影した写真です。

ナガミヒナゲシです。わかりにくいダメな写真ですが、路傍に咲いている、というところを撮りたかったのです。ここは小学生から中学生、高校生までたくさんの生徒さんたちが通る通学路です。こんなところでしゃがんで写真なんぞ撮っていたら、それだけで不審者です。付近に誰もいないくなるのを待ち、わずかな隙間のタイミングで撮ったらこんな写真になってしまいました。数年前に撮影したもうちょっとわかりやすい写真はこちらです。

この20年くらいの間に急激に広まった外来植物なので、ちょっと古い図鑑を見ても載っていません。しかし、小中学校の理科の教科書の中には「身近な植物」として扱っているものもあり、もしかしたら大人よりもお子さんたちには名前もおなじみになっているかもしれません。
この植物が目立つのは、もちろん花が美しく咲くことと、その色がほかにあまりない独特のものだという理由があります。そのためか、この花を「雑草」としてムキになって抜いているところ(またはその痕)をあまり見かけません。順調に(?)分布を広げている理由はそのあたりにもあるのでしょう。
一方こちらは、アメリカオニアザミ。

こちらは抜こうと迂闊に手を出すと、皮膚に穴があきます。そのためはじめは伸び放題で急激に分布を広げるのですが、ある程度その地域の人の認識が定着すると、小さいうちから目の敵にされて抜かれてしまいます。

「まあ、いいか。きれいだし。」と思われるナガミヒナゲシと、
「あんのやろう!大きくならないうちに抜いてやる!」と敵対視されるアメリカオニアザミ。
同じ外来植物でも、私たちの反応はずいぶんと分かれるものですね。
(生物担当学芸員 秋山)

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