「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No38・正月準備)

平成2年度制作の文化財記録映画第9作「続・相模原の年中行事」は、12月の正月準備から4月までの年中行事を紹介しています。ちなみに5月~11月は前年度の第8作目の「相模原の年中行事」で扱っていますが、両映画の撮影自体は平成元(1989)年~2年に行われました。今回の写真も平成元年12月から2年1月撮影で、記録用なのでモノクロです。

正月を迎えるために、年末に煤払い(すすはらい)があり、かつては家の中のものを畳まで外に出して大掃除を行いました。竹で作った箒(ほうき)で家全体を払い、神棚は小さな笹でほこりを払いました(撮影地・緑区大島)。

正月というと餅つきです。餅をつく日は12月28日か30日と決まっていて、神仏へのお供え用と自家で食べるのし餅の両方があるため、大量の餅つきをしました。二枚目の写真はのし餅です(緑区大島)。

また、餅つきと同様に、各家で正月飾りのしめ縄を作ります。しめ縄作りも28日か30日の作業で、神棚の他にも例えば物置や墓地・井戸など、いろいろなところに飾りました(緑区大島)。

大晦日の夕方に、屋内を払う「晦日祓い(みそかはらい)」を行う地区がありました。神社から来る小さな幣束(へいそく)を振りながら、「ミソカッパライ、ミソカッパライ」と唱え、神棚をはじめ家の中を祓います。終わると幣束を外の辻に差し立てました。晦日祓いは南区上鶴間や中央区淵野辺など、境川流域の地区から報告があります(南区上鶴間本町)。

こうした正月の準備を経て、映画では正月の若水汲み(わかみずくみ)も撮影されました。元日の朝に家の主人が初めて井戸から汲む水が若水で、神仏に供えるほか、雑煮もこの水で作ります。後に水道を使うようになってからも、その年の初めての水道水を若水に見立てました(緑区橋本)。

もちろん映画で撮影できなかった内容もありますが、今回は特に正月準備を中心に取り上げました。次回は映画に限らず、神棚とは別に作られた「年神棚(としがみだな)」を紹介します。

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