楽園の侵入者

一昨日の河原歩きを、一つ前の記事で「楽園」として紹介しました。でもじつは、ちょっと嬉しくない見つけものもありました。それは、これです。

小さな子どもの手のような足跡。かわいいですね。でもよく見ると、指先には鋭い爪の跡もついています。これは、アライグマの前足の足跡です。
根強い人気のテレビアニメで一躍人気の動物となったアライグマですが、人間の手に似た前足を持つため、手先が器用。知能も高く、木登りも得意。そして何より、気性がものすごく荒い・・。人慣れしにくいため、ペット動物としてはまったく不向きです。ところが、アニメの愛くるしいイメージからペットとして輸入され、飼い主の想定外のどう猛さや鳴き声のうるささが災いして・・
その後どうなったかは現在の野生化の状況どおりです。特定外来生物にも指定されています。
相模原市内では旧市域を中心に全域に分布しています。科学的に検証してはいないのですが、谷戸などでアライグマの足跡が見つかってしばらくすると、カエルが激減しているように思います。
さて、新しくて非常に状態よく残っている足跡なので・・

石こうで型どりをしてみました。アライグマを含めて野生ほ乳類の多くは夜行性のため、なかなか生息状況をつかみにくく、痕跡(フィールドサイン)による情報がとても重要です。フンや食痕と違って足跡は持ち帰ることが難しいため、写真に加えてこうして石こうで型どりをしておくと確実な証拠として残せます。

アライグマの生息の証拠はあまり嬉しくはありませんが、資料としてしっかり残しておきたいと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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