曇天に似合う色

博物館の前庭はいま、ヤブランの花が見ごろです。この花はなんとなく、曇り空が似合います。

6枚の花被(かひ=花びらのように見える部分)が特徴

晴れて日が当たるとなんとなくぼやっとした印象ですが、曇天の下だとこの微妙な薄紫色が強く主張してきます。

正面入口のまわりにたくさん咲いています

今日(9月6日)もそんな空の下でたくさんの花が咲き乱れています。
さて、お隣の樹林地には、注意して見ないとヤブランかと見間違えてしまいそうな花が咲いています。

お隣の樹林地に咲く別の花

やはり曇天向きの色の花、ツルボです。ヤブランと同じなかまなので、咲き姿もよく似ていますが、花のころに葉がほとんど目立たない点が違います。

ヤブランよりやや薄い色の花が可憐なツルボ

この両種、ちょっと前までは「ユリ科」ということで大きくまとめられていました。しかし、現在新しい図鑑の多くが採用している系統分類では、「キジカクシ科」という聞き慣れないグループに含まれています。このグループ、和名よりも学名の方がよく知られていて、アスパラガス科Asparagaceaeと言えば通りが良いですね。ただし、ツルボをはじめ、球根に毒を持つ種が多いのでやたらに口にしてはいけません。

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