木の年齢がわかるとき

9月末に日本海を縦断した台風25号は、関東地方に暴風をもたらしました。その影響で博物館周辺の樹木にも大きな損害が生じ、そのうちの1本、駐車場のハリエンジュ(別名ニセアカシア)が傾いてしまったため、緊急措置として伐採されました。

ハリエンジュの伐採のようす

実測ではありませんが、高さ約18メートルのハリエンジュは毎年、初夏にたくさんの花を咲かせてくれていたのですが、この木はもともと成長が早く、根が浅く横に広がるのが特徴です。古くは砂防工事などの土留(どどめ:斜面などを植物の根によって固めること)に用いられた北米原産の外来植物です。河原でたくさん育っていることが多いので、養蜂業者がこの花の蜜を使って「アカシア蜜」を生産したりします。
さて、樹木が伐採されると、生きものを扱う人間が必ず見ることがあります。

切り株 長いところでは65センチメートルありました

それは、年輪(成長輪)です。この写真が伐採されたハリエンジュの切り株で、短い方で40センチメートル、長い方で65センチメートルあります。早速数えてみると・・

新しい切り株ほど、年輪が明瞭です

明瞭な線を32本まで数えることができました。しかし、一番内側は腐植が進んでいて読み取ることができません。そこで年輪の間隔から見て、おそらくこのハリエンジュの年齢は34~35年と推測できました。
樹木は発芽や植栽とその時点での年齢の記録でも残っていなければ、正確な年齢がわかりません。伐採して初めて正確にわかるので、こうして新しい切り株ができたときには数えておきます。そうすると、種類や地域による樹木の大きさと年齢の関係の違いについて、データを蓄積しておくことができるのです。

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