6月7日、梅雨入り前の晴天の中、横浜国立大学(横浜市保土ヶ谷区)のキャンパス内で学生さんたちと野鳥観察を行いました。横浜国立大学は広大なキャンパス全体が常盤台と呼ばれる丘陵地にあり、多くの樹林が残されています。その樹林は昨年、環境省が進める自然共生サイトへ「ときわの森」として認定されました。今回、ときわの森の生物相を調べる地域課題実習「ときわの森生物調査団」のメンバーに対して、野鳥観察の初歩的な実習を行いました。
はじめに室内で簡単なレクチャーを行い、その後、シジュウカラのさえずりが響く野外へ。クマノミズキが満開だったので、秋には果実が実り、渡り鳥の重要な食料となるので、こうした樹木もチェックしておくことをおすすめしました。

クマノミズキ
歩き始めてすぐに、カラ類の混群(シジュウカラを中心とした異種混群)に出会いました。エナガの家族群も混じっていたので、じっくり観察。

エナガ(親鳥)
でも、参加した学生さんが「エナガってもっとモコモコした感じじゃなかったかな?」と疑問の声が・・そうです、子育て真っ盛りのエナガの親鳥は、ちょっとやつれた感じに見えてしまうのです。なにしろ、一回の繁殖で10羽以上のヒナが巣立つのですから。
キャンパス内は植栽木も多いのですが、そのひとつ、青々としたトチノキは下から見上げると美しさに見とれてしまいます。

トチノキ
外来種も多く、クリハラリスの鳴き声に惑わされたり、ウグイスのさえずりを堪能していたら、ガビチョウが近寄ってきて大きな声でさえずったり・・どちらも特定外来種です。

ガビチョウ
お天気が良かったため、昆虫にもたくさん出会いました。こちらは交尾しながら飛んでいたチャイロオオイシアブです。

チャイロオオイシアブ
キャンパス内を一回りして戻ってきたら、ハシブトガラスが施設の脇のすき間をのぞいていました。何か気になるものがあったのでしょう。カメラを向けると「なに?」という感じでこちらを見たのですが、あまり気にしない様子で探索を続けていました。

ハシブトガラス
この日はずっと上空をハシブトガラスが飛び交っていました。調査団を指導する倉田薫子教授によると、平日はこんなにハシブトガラスが目立たないそうです。週末など学生さんがあまりいない日は、キャンパス内を自由に闊歩しているのかもしれません。
生きものの観察は、まずは楽しむことが大切、ということをお伝えして、観察を終了しました。
(生物担当学芸員)