8月後半、猛暑が続いています。そして、どこかしらで午後になると、にわか雨や雷雨の情報が入る毎日です。8月20日午後も、出張帰りに博物館近くを歩いていると遠くで雷鳴が聞こえてきました。南西の空を見ると、迫るように発達中の積乱雲が出ていました。

手前の雲の奥に積乱雲が発達しているはずです
積乱雲こそ、雷をもたらす雲です。そして、この雲が列をなしてほぼ同じ場所に次々と沸き続けるのが、線状降水帯です。最も危険な雲と言えるでしょう。よく、積乱雲と夏雲を代表する入道雲が混同されることがあります。確かに、積乱雲の中には遠目には入道雲のように見えるものも少なくありません。しかし、入道雲は別の名を雄大積雲と言い、縦に発達した積雲です。真下に、にわか雨を降らすくらいでそれほど危険な雲ではありません。

雄大積雲(いわゆる入道雲)
積乱雲は、急速に発達し、時として雲ができる限界の高度まで達します。積乱雲が近くで発達していると、急にあたりが暗くなるので、そもそも雲の上の方まで見えません。
最初の写真の雲は少し遠方で発達していたので、博物館へ戻ってから改めて屋上で撮影しました。

結局近くまで発達してこなかった積乱雲
相変わらずゴロゴロと雷鳴が鳴っていて、雲の真下は雷雨になっていたかもしれません。しかし、この日は結局、博物館周辺まで雲が発達してくることはなく、雷雨もありませんでした。
積乱雲は、雨雲レーダーなど見ていると移動してくるように見えますが、実際には突然真上で発生して雷雨になることもあります。雨が降り出す予兆は風です。突然風が強くなり、あたりが暗くなったら要注意です。開けた場所にいると危ないので、すぐに建物や自動車の中へ入ってください。
しばらく積乱雲が出やすい天候が続きます。くれぐれもご注意ください。
(生物担当学芸員)