テイカカズラ

博物館お隣の樹林地で、あずき色の細長い鞘(さや)がぶら下がっているのに気づきました。

テイカカズラの鞘果

これは、テイカカズラの鞘果(さやか)です。すでに割れて中身の果実が見えています。

割れて中身が出かかっています

取り出してみました。いかにも風に乗りそうな見事な冠毛です。

テイカカズラの果実と冠毛

テイカカズラは春から夏にかけて花を咲かせるつる性の樹木で、花は風車を思わせるかわいらしい花です。

テイカカズラの花(初夏に撮影)

果実も繊細で美しいのですが・・じつは、盛大に育つとなかなか恐ろしい姿になります。木が弱って枝ぶりが悪くなってくると、日照を感じてか、急につるを伸ばして木を覆いつくしてしまいます。下の写真は、鞘果を撮影したすぐそばで茂っていたテイカカズラのつるで、一昨年の様子です。

テイカカズラに覆われたミズキ すでにミズキの枝が見えなくなっています

枯れかけたミズキにとりつき、おばけのような状態になってしまいました。昨年、このミズキは重さに耐えかねて途中で折れてしまったのです。
つる植物は、チャンスがあれば上へ上へと伸びていき、たとえ台になっている植物が枯れたり、もとろも倒れたりしても、その一時に大繁殖できればよいという戦略です。なんとも刹那的ですね。
(生物担当学芸員)

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