「好きな植物は?」と尋ねられると、いろいろありすぎて困ってしまうのですが、「気になる植物は?」と聞かれれば、迷わずこの植物を挙げます。
ネナシカズラ。ヒルガオ科の寄生植物です。写真のネナシカズラは、イタドリにとりついていました。紫色のヒモのようなものが茎で、黒っぽいブツブツが果実です。
この時期、突如その種子植物らしからぬ異形を表します。先日(11/7)、相模川の河原でみかけた時は、ご丁寧にネナシカズラと隣り合って、アメリカネナシカズラまでありました。こちらはノイバラやコセンダングサなど複数の植物にからみついています。まるで、ラーメンをぶちまけたみたい。
4ミリほどの花は、拡大して見ればなるほどヒルガオ科と言われて否定する材料もありません。茎はしっかり右巻きですし…。
自ら光合成することはないので、茎に葉はなく、そもそも葉緑素もありません。そしてあるのは、寄生根。茎にある、歯のようにごつごつしたものがそれです。
発芽して、取りついた植物にしっかり寄生根を食い込ませて栄養を吸収できるようになると、根が溶けて無くなってしまいます。まさにネナシカズラ!!
私はもともとつる植物全般が好きなのですが、この刹那的な生き様のつる性寄生植物、もっとも気になる、そして密かにもっとも好きな植物です。
(生物担当学芸員 秋山)
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プロフィール
神奈川県相模原市中央区にある市立博物館です。1995年に開館して以来、相模原の歴史や自然を扱う総合博物館として市民に親しまれ、2019年には入館者数が300万人を超えました。また、2010年7月には、小惑星探査機「はやぶさ」の、2021年3月には後継機「はやぶさ2」の再突入カプセルの世界初公開を行うなど、お向かいにあるJAXA相模原キャンパスとの連携も深めています。
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