啓蟄 アズマヒキガエルも産卵

3月5日は二十四節季の啓蟄(けいちつ)です。「冬籠(ごも)りの虫が這(は)い出る」という意味で、動物たちの動きが活発化する季節です。
市内中央区の公園でも、アズマヒキガエルのひも状の卵がありました。状態から見て、数日前に産卵したものと思われます。

アズマヒキガエルの卵(3月6日、中央区で撮影)

ただ、この場所の産卵量からするとまだ少なく、ピークはこれからと思われます。アズマヒキガエルは1週間ほどの短い繁殖期間にオスとメスが集まって産卵します。オスはメスをめぐって鳴きながらとっくみあいます。この様子を“カエル合戦”と呼び、昔から季節の風物とされてきました。下の写真は同じ場所の3年前のカエル合戦の様子です。

20匹以上のアズマヒキガエルが集まっていました(2018年撮影)

暗闇の中、オスは他の個体が近づくと、背中から抱きつきます(抱接=ほうせつ)。間違えてオスに抱接してしまうこともありますが、抱きつかれたオスは「ククク」と鳴いて「オスだよっ!」と合図します。すると抱きついた方はパッと放します。この鳴き声をリリース・コールと言います。運よくメスと抱接できても、他のオスが後からちょっかいを出してきます。そうすると後ろ足キックで対抗したりします。

メスを待つオスたち

時に1匹のメスにたくさんのオスが抱きついて身動きが取れなくなり、“カエル玉”になってしまうこともあります。

カエル玉の状態 メスは苦しくてもがきますが、オスは離れません

こうなると、中のメスは締め付けられたまま水中に沈み、時には窒息死してしまうこともあります。
早春の夜の闇の中、アズマヒキガエルの戦いはもう少し続きそうです。

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