「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No53・念仏と地蔵)

職員ブログNo.50では、彼岸に行われた念仏講を紹介しましたが、実は念仏講は彼岸に行われるだけではなく、例えば、人が亡くなると、その家に集まって葬式念仏(とむらい念仏)を唱えるのは一般的なことでした。

そして、最初の写真は、平成5年(1993)度制作の文化財記録映画・第12作目の「庶民のいのり―相模原の念仏講―」において、緑区相原で撮影された「家見(いえみ)念仏」です。新築された家で行われ、歌詞には新築の家が末永く繁盛する願いが込められています。

新築と念仏というと意外な感じですが、家見念仏は各地で行われており、映画では当時、10数年ぶりの家見念仏を撮影することができました。

 

また、次の写真は、昭和63年(1988)10月24日の南区当麻・宿地区での撮影で、ここでは4月と10月に集落にある子育て地蔵を祀りました。地区の女性が集まり、地蔵にお参りした後に念仏を唱えました。二枚目写真の右奥に地蔵の祠(ほこら)が見えています。

 

南区の下溝・古山地区でも地蔵を祀っており、ここでは4月と12月に地蔵の念仏を行います(昭和61年[1986]4月4日撮影)。当日は地蔵の祠の前に幟(のぼり)を立て、元は祠の前で行っていたのが、後に地区の公会堂に場所が変わりました。三枚目写真の右奥に、「地蔵尊」と書かれた掛軸があるのが分かります。

なお、この地蔵は子育て地蔵のほか、古くは雨が降らない時に川に沈めておいた雨ごいの地蔵とも言われています。

 

もちろんこうした地蔵を祀ることは津久井地区にもあり、緑区千木良・中央地区では地蔵堂で「地蔵のおこもり」を行いました。火事よけの火伏せの地蔵と言われ、毎月のようにおこもりがあって特に2月14日が本祭りで、写真は平成22年(2010)2月14日撮影です。始まる前に参加者が地蔵様を拝んでいます。

 

前々回に取り上げた地神講のように、各種の講などに関する写真はほかにも保管しており、いろいろなテーマに基づきながら今後とも紹介していきたいと思います。

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