博物館収蔵資料紹介~菓子作り道具①

職員ブログでは、これまで「写真に見る昭和・平成の相模原」として、博物館が建設準備の期間から撮影した、民俗分野のさまざまな写真を掲載してきました。

博物館では常設展示室「川と台地と人々のくらし」で、それぞれのテーマのもとで資料を展示していますが、実はそうした資料以外にも多くの資料を保管しています。このブログでは、そのような資料の中から、特に民俗分野に関わる資料を中心に毎回二~三点ずつ紹介します。いろいろなものを取り上げたいと思いますのでお楽しみに。

第一回目の今回は、南区磯部にあった吉川屋という和菓子屋の資料で、明治27年(1897)生まれの方が始めたそうです。なお、現在は営まれていません。

最初の写真は菓子型の木型です。落雁(らくがん)など粉菓子は花などのきれいな形に仕上げますが、こうした木型に米粉などをつめて型抜きします。                 

 

次の写真は一枚目のものと似ていますが、地域のそれぞれの家の家紋(かもん)の木型です。かつては結婚式や葬式の時に客に配るための贈答用として、近隣の家々から菓子の注文を受けることが多く、葬式のまんじゅうにはその家の家紋を押しました。このように菓子屋は地域の生活にとって欠かせない存在でした。                 

 

また、粉菓子のほかにせんべいなども作っており、写真はせんべいを焼く金型です。                 

 

昭和58年(1982)度に実施した相模原地域の調査では、各地に和菓子製造の職人がいたことが分かっているものの、博物館で保管する菓子製造等に関する資料は当家だけです。そうした点からも興味深い資料と言えます。

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