博物館収蔵資料紹介~草競馬・相撲・大凧~

今回も人々の娯楽に関係する資料を取り上げます。

前回、祭りの余興(よきょう)などとして行われた地芝居(じしばい)の資料を紹介しましたが、大正から昭和初期にかけて、地域の人々による相撲(すもう)や草競馬(くさけいば)が流行り、春の祭りに相撲や競馬、秋には神樂(かぐら)や芝居などが行われたりしました。

次の写真は、草競馬の旗で「高峰競馬会」とあり、愛川町高峰地区で行われた競馬と思われます。また、字が薄いところがありますが「寄贈」「原町田牛馬商」「田所儀作」と記されていて、町田にあった牛や馬を扱う業者が、優勝した馬に贈った旗と考えられます。                   

こうした草競馬は市内でも各地で行われ、また、出走させる馬を飼う家もところどころにありました。写真の資料は、中央区上溝の方から寄贈いただいたものですので、上溝にいた競走馬が優勝した際に貰った旗でしょうか。

次の資料は、力士のしこ名などが書かれた相撲の番付(ばんづけ)です。素人相撲ではなく、昭和29年(1954)11月26日に上溝商店連盟が主催した大相撲の地方巡業(じゅんぎょう)のものです。「相模原市制施行記念」とあることから、同年11月20日の市制施行に合わせて実施されました。相模原町から市となるといった、本市の大きな歴史の動きを祝う一大イベントは多くの人々を楽しませたことでしょう。                   

 

南区新磯地区で、毎年5月4・5日に相模川沿いの広場で行われる「相模の大凧揚げ(おおだこあげ)」は、地域を代表する行事として市の無形民俗文化財に指定されています。さらに、子どもの誕生を祝って五月節供(せっく)に大きな凧を揚げる習俗は全国各地にありますが、関東地方の中で代表するものの一つとして、国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択されています(※)。

次の写真は、平成24年(2012)の大凧がまさに揚がったところです。                   

大凧は子どもの初節供だけでなく、4月頃の凧を揚げるのによい風が吹き出すと、地元の青年たちが集まって楽しみに揚げていました。そして、この凧は非常に大きいため、竹の骨組みに結ぶ麻糸の糸目(いとめ)が重要で、凧が揚がるかどうかは糸目の付け方で決まると言われます。次の写真は、和紙を貼る前に凧を立てて、付けた糸目の調整をしているところです。                   

最後の写真は大凧の模型で、「相模の大凧文化保存会」会員の方が製作したものです。実際には行事の際に現地に行かないと見ることができないものでも、こうした模型によって糸目の状況がよく分かり、大切な資料と言うことができます。                  

※選択名「関東の大凧揚げ習俗」平成3年(1991)2月2日選択、平成3年度記録作成。

カテゴリー: 考古・歴史・民俗 タグ: パーマリンク