テイカカズラの恐怖

先日、木性つる植物のフジの恐怖についてこのブログに掲載しました。今回は、同じく木性のつる植物であるテイカカズラについて紹介します。
11月21日、博物館お隣の樹林地を歩いていると、地面にこんなものが落ちていました。

テイカカズラの果実

テイカカズラの綿毛と果実です。ふんわりとした綿毛は立派で、かなりの滞空時間で空中を漂うことができます。

テイカカズラの果実

テイカカズラといえば、初夏に咲く花は風車(かざぐるま)を連想させるかわいらしい花で、付近に甘い香りを漂わせます。

テイカカズラの花(6月に撮影)

・・と、ここまではなかなか風流な植物なのですが、果実が落ちていた付近のテイカカズラは、こんなふうに茂っています。

枯れたミズキにとりついたテイカカズラ つる植物のお化けのようです

枯れかかって枝が落ち、日差しが地面まで届くようになった木の幹を、一気に登って葉を茂らせています。この木はかれこれ3年以上、このような状態でテイカカズラに覆われています。すでに木は枯れているので、遠からずテイカカズラの重みで倒れるでしょう。
テイカカズラは、このような好条件でつるを上へと伸ばせるチャンスが訪れるまでは、地面をはっておとなしく葉を茂らせ、虎視眈々とチャンスを待っています。

地面でおとなしくつるをはわせるテイカカズラ

日差しを十分に受け取れるようになると、風車のようなかわいらしい花を大量に咲かせて、綿毛のついた果実を飛ばします。
「恐怖」とタイトルにつけてしまいましたが、じつは、つる植物のこうした生態は、植物のダイナミックな一面を感じられてとても好きです。
(生物担当学芸員)

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