ガマの旅立ち

先日、相模川の河原へカワラハハコの種子を採りに行った際、ガマの穂が強風で揺れているのを見ました。ガマは種子が熟すと、あのウインナーのような穂が破れるようにほぐれて、ぎゅうぎゅうにつまった綿毛付きの種子が風に乗って飛んでいきます。

破れ始めたガマの穂

強風にあおられて、穂が爆発しています。種子が飛ぶ瞬間が撮れそうだったので、風が吹いた瞬間に連写してみました。その結果、まさに離れて飛んだ瞬間が写っていました。

種子が離れた瞬間

一つの穂だけで数十万粒の種子が詰まっていると言われています。このうち、いくつが生育に好条件の地点へ飛んで発芽するのでしょうか。

破れる前のガマの穂(別の場所で撮影)

この河原でも、ガマは特定の場所にしか生えておらず、株数はそれほど多くありません。多年草なので、毎年代替わりすることもありません。そう考えると、発芽、成長して開花までたどり着くのは、ほぼ0パーセントと言えるでしょう。それでも毎年こうして種子を飛ばし続けるのは、何万年以上にも及ぶガマの進化の歴史の中で、必要なことだからです。生物の世界は、謎に満ちています。
さて、飛ぶと言えば、上空ではノスリというタカが飛んでいました。頭上を旋回している時に、ギロリとにらまれました。

こちらへ視線を向けるノスリ

タカの仲間は視力がとても良いと言われていて、だからこそ上空から地上のネズミなどを見つけて捕らえられるのです。

悠々と飛び去るノスリ

こちらは食べものにならないと認識してくれたようで、すぐに飛び去って段丘崖の方へ消えました。
(生物担当学芸員)

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