ヤエムグラのトゲ

大型連休の2日目、抜けるような青空が広がりました。博物館周辺のミズキも開花して、森の中が急ににぎやかになりました。

ミズキの花

その足元へ視線を移すと、こんな植物がわさわさと生えています。

ヤエムグラ

見覚えのある方も多いはず。この草をちぎって友達の服へ投げると、ピタッとくっつきます。そんな遊び(いたずら?)をした記憶がよみがえります。この植物の名は、ヤエムグラ。衣服などにピタッとくっつくその秘密は、全草に生えているこのトゲです。

茎から下向きに生えているトゲ

このトゲは、ヤエムグラがお互いに、あるいは他の草へもたれかかって伸びていかれるように発達したものです。こうすれば、丈夫な茎を持たなくても上へ伸び上がれるというわけで、実際、ヤエムグラの茎はとても弱々しくすぐに折れたりちぎれたりします。
花は極小で、大きさは2ミリメートルほどしかありません。

ヤエムグラの花 下の球形のものは若い果実

果実のトゲトゲは“ひっつき虫”として他の動物の毛にくっついて運ばれるためのものです。同じ植物の中に、目的の異なるトゲが生えているのが興味深いですね。
さて、林内にはほかにも、目立たないけどかわいらしい植物が開花していました。ヒゴクサです。

ヒゴクサ

上にスッと伸びた部分が雄花の花穂(かすい)で、下の白いフワフワがついている部分が雌花の花穂です。目立つ花は無くても、なんとなくかわいらしくて写真を撮りたくなる植物です。
(生物担当学芸員)

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