貴重な照葉樹林 小倉山

今日は緑区の小倉山へ調査に行きました。採石場の拡張で山塊がごっそり削られる計画があることから、9月にも調査を行い、ブログに掲載しました。

相模原植物調査会では、これを機にしっかりと小倉山の現況を調査しておこうと、集中的に調査を行うことにしました。今回は、北東斜面の一部にある、貴重な照葉樹林の調査です。一般的な登山路や林道の無い場所なので、高圧鉄塔の管理路を歩きます。

途中、倒木を迂回したりしながらたどりついた小さな尾根に、その照葉樹林はありました。

この樹林はスダジイが優占し、西日本によく見られる照葉樹林の様相で、相模原周辺で一般的に見られるシラカシ林やアラカシ林とはまったく異質のものです。小倉山山頂付近には、サカキやシキミ、イズセンリョウといった西日本に多い樹木が多く見られるので、どうやら山頂付近はもともとこうした西日本型の照葉樹林に被われた山塊だったのかもしれません。それが、植林などにより現在は置き換えられ、この場所にだけ、残存しているようです。なお、詳しい植生調査の結果は、相模原市立博物館研究報告第18集(2009)で宮崎卓さんによって報告されています。

林内のモミの木に、テイカカズラのつるが盛大にからみつき、茂った葉が重そうに垂れ下がっていました。

幸いこの場所は、採石場の拡張予定地からは、わずかに外れています。特異で貴重なこの樹林の学術的な価値をしっかりと把握して保存していかれるよう、今後とも注意深く見守っていきたいと思います。

(生物担当学芸員 秋山)

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