4500年前の土器から出てきたもの

本日、山梨県からお客様が来られました。
土器に付いた植物圧痕について研究をされている高名な研究者の方々です。

目当てはこの土器。

勝坂遺跡から実に40年近く前に出土した土器です。(残念ながら勝坂式土器ではなく、連弧文土器と呼ばれるものです。)ずっと博物館ではない場所に保管されていました。

写真ではよく見えませんが、表面にたくさんの穴が開いています。私が初めてこれを見たときは「この穴はなんだろう??」程度にしか考えなかったのですが、どうやらこれは植物の圧痕らしいということで、調査に見えられました。


注意深く観察。


そして特殊なシリコンを注入。

こんな感じです。

そして採れたのが....、

4500年前のマメの原生種のレプリカです。

なぜか縄文人たちは、土器にマメを埋め込んだようなのです。
特にこの土器は、欠損部分が有るにも関わらずなんと70箇所ものマメの圧痕が見つかりました。これには長年研究されている先生も、こんな土器は初めてだ、と驚かれていました。

もちろん縄文研究会の皆さんにもご参加いただきました。

博物館には、公開されずに収蔵庫に眠っている収蔵品がたくさんあります。特に土器の破片は、おそらく数十万個に登るでしょう。
これらの土器を市民の皆さんと手分けして調べ、植物の圧痕が見つかればシリコンでレプリカを作り、縄文時代の植物のデーターベースを作ることが可能になってきます。縄文時代の植物環境や食生活について、新しい発見が得られるかもしれません。

今更ですが新しい知見を得ることができて、学芸員としても非常に勉強になった一日でした。
(考古担当 正)

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