相模川を代表する絶滅危惧植物であるカワラノギク。博物館では、2004年から河川管理者である神奈川県などのご協力いただきながら、保全地での生育実験などを繰り返してきました。
今年は、「桂川・相模川流域協議会」や「カワラノギクを守る会」による保全圃場が規模を拡げ、複数の保全圃場で、ある程度安定した生育環境が確保できています。そこで、博物館で管理する圃場は「手抜き」をしてみました。これまで年3回ほど行ってきた草抜きを1回だけにして、ようすを見たのです。その結果は、このとおり。
コセンダングサに被われてしまいました。
これは織り込み済みだったのですが、想定外だったのが、今年の渇水です。シュートを伸ばして花芽を形成する、もっとも水分を必要とする時期に降水が足りず、今年、開花しようとしていた株がことごとく枯れてしまいました。
わずかに咲いた株は、皮肉なことにコセンダングサに囲まれて、乾燥を免れたような形です。
河原である程度の面積でカワラノギクの圃場を管理しようとすると、膨大な労力がかかります。活動が持続するように、できるだけ省労力で自然に近い状態で咲かせられないか、目論みたのですが…。
しっかり除草などをほどこしている圃場は、満開。やはりしっかりと手をかけないと、利水、治水が発達し、外来種のパラダイスとなっている河原の環境ではカワラノギクは生きながらえないのかとちょっと考えさせられる結果となりました。
(生物担当学芸員 秋山)
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プロフィール
神奈川県相模原市中央区にある市立博物館です。1995年に開館して以来、相模原の歴史や自然を扱う総合博物館として市民に親しまれ、2019年には入館者数が300万人を超えました。また、2010年7月には、小惑星探査機「はやぶさ」の、2021年3月には後継機「はやぶさ2」の再突入カプセルの世界初公開を行うなど、お向かいにあるJAXA相模原キャンパスとの連携も深めています。
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