秋雨の中の植物調査

9月26日、秋雨の中でしたが、緑区の仙洞寺山へ植物調査に出かけました。
ちょうどシモバシラやジャコウソウが咲いていて、暗い林内で灯火のように輝いていました。

シモバシラの花

ジャコウソウの花

灯火のように、と言えば、今年はキノコの当たり年のようです。このところの雨と、急に下がった気温のせいでしょうか。量も種類もたくさん出ていました。
名前がよくわからないものばかりでしたが、いくつか写真をアップします。まずは、シロキクラゲのなかまです。

シロキクラゲのなかま

こちらのランプシェードのようなキノコはハナオチバタケでしょうか。

ハナオチバタケ

暗い林床(りんしょう)でハッとするような色合いに輝いて見えたのは、タマゴタケです。

タマゴタケ

おちょこのようなかわいらしい姿と色合いながら、有毒のウスタケのなかまです。

ウスタケのなかま

巨大なキノコもありました。こちらはさっぱりなんの仲間かもわからないのですが、ペットボトルが小さく見えます。

傘の直径は15センチメートル以上!

さて、こんなふうに地面に生えるキノコを撮影していると気になるのはヤマビルです。雨模様ということもあり、たくさんいました。

ヤマビルも雨の中で元気いっぱいでした

ただし、今日は試験的に使用してみた忌避剤(製品としてもまだ試験中とのことで写真はありません)が抜群の効果で、長靴の中に入られることはありませんでした。

足下がつるつるすべるので、慎重に斜面を歩きました

植物よりもキノコをたくさん見た気もしますが、雨も午前中はそれほど強くなく、無事に調査を終えることができました。

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ジョロウグモのシーズン

秋分の日も過ぎ、いよいよ秋を感じ始めているこの頃、ひときわ目立っているクモがいます。
ジョロウグモです。

黄色い腹部に赤い斑、黄色と黒の脚も含めると5センチ以上はありそうな大きさに、大きな網。夏の盛りならともかく、ちょっと秋の涼しさとは遠いイメージです。
5月に小さな子グモとして孵化してきたこのクモも、今は繁殖期。

メスの網にオスが侵入しています。黄色や赤の派手なのがメスで、茶色っぽい地味なのがオスです。このとき、オスは触肢(口の近くにある触覚のような付属肢)の先にある貯精嚢に精子を保持しています。
一度体外に出した精子を、触肢の先で吸い上げてから使うという特殊な方法をとるため、クモの交尾は通常「交接」と呼ばれています。

オス間には競争があり、この網には大きなオスと小さなオスが1匹ずつ入っています。
こんなふうに、複数のオスが1匹のメスにアプローチしている事は、よくあります。
小さいオスにとっては厳しい状況に見えますが、大きければ有利かというと必ずしもそうではないようで、天敵に発見されるリスクが大きいという研究もあります。

この網には、メス1匹に対し、オス5匹が入り込んでいました。残念ながら写真には3匹しか写っていませんが、数日後には3匹に減っていたので、やっぱり過密だったのかもしれません。

ここまで接近しているのに、交接に至らずじっとしているオス。もちろん、下手に動けばエサと勘違いされて、深手を負うか、最悪の場合食われてしまうことになります。

この網のオスメスは微妙な距離を保ったまま、数日間膠着状態。

と、思ったら本日、交接しているところを無事目撃しました。なんと、メスの上の方に、脱皮殻があります。もう成熟しているとばかり思っていたのですが、どうやらオスは最後の脱皮を待っていたようです。どうしてわかるのでしょう。不思議です。

オスはメスにそっと触れるようにして、体の位置を固定しています。オス触肢の先端からメスの腹部に、細い針のようなものが伸びているのがわかるでしょうか。

約3時間後、見に行きましたが、まだ継続中でした。ハードルが高い分、その後はゆっくりなのかもしれません。それにしてもこの間、どうしてメスがオスに襲いかからないのでしょうか。不思議は尽きません。

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生きものミニサロン「秋をみつけて!ビンゴ」を実施しました

9月22日(土)、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今日のテーマは、「秋をみつけて!ビンゴ」です。
こんなビンゴカードを用意しました。

ビンゴカード 一人ずつ配置が違います!

9つのお題をそれぞれ探して、見つけられたら印をつけていき、タテヨコ斜めに3つ揃ったらビンゴ!
みなさん、熱心に取り組んでくれました。

赤と黒と黄色のクモ(ジョロウグモ)を観察中!

中には「今日はいてきたくつ下の色と同じ色の花」なんていう難問?もあります。
でも、足下からじっくりと探していくと、結構いろいろなものが見つかります。

足下をよく見るといろいろなものが!クヌギのドングリを拾っています

キノコみつけた!

ここにもキノコがいっぱい!

1時間くらいかければすべて埋まるお題なのですが、30分の中では半分ちょっとでタイムアウト。でも、全員が1本以上はビンゴになりました。

セルビンに入れたカメムシのニオイを体験!

ふだん見慣れた風景も、自然観察の視点で改めて見るとちょっと違った発見があるようで、大人の方にも楽しんでいただけました。
次回は10月27日12時からの予定です!

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ススキとオギ

博物館のエントランス、総合案内の横にはいま、9月24日の中秋の名月に向けてお月見のようすが再現されたミニ展示が設置されています。

お月見のようすを紹介しています

お月見の植物と言えば、ススキです。展示されているススキは博物館の近くで採集してきたものですが、じつは、一般的にススキと呼ばれている植物の中には2つの種類が混じっていることが多いのです!(博物館で展示しているものはススキを選んで採っています)

いわゆる“ススキ”

遠目にはほとんど区別がつかないのですがススキととてもよく似た、オギという植物があるのです。
ススキはこちら。

ススキの穂

オギはこちらです。

オギの穂

ほぼ、同じに見えますね。一般的にこの2種の植物は区別されていません。おそらく、かつてカヤ材として屋根葺きに使われていたころは、屋根職人さんなどは区別していたはずです。乾いた草原を好むススキに対して、オギは河原などやや湿った場所を好みます。ただ、両種が混在することも多く、博物館のまわりでも隣り合って生育しています。
どこで見分けているのかというと、穂を作る小穂(しょうすい)という構造の一つを拡大してみます。こちらはススキです。

ススキの穂の一本を折り曲げています

1つの粒から1本の針のようなものが出ています。これを芒(のぎ)と言います。芒がはっきりしていて、ススキの象徴であるふわふわの毛はやや短めです。
対してオギはというと・・

こちらはオギ 芒がありません

芒がありません。ふわふわの毛は長く、小穂の粒よりかなり長く見えます。
このように、芒があるか、無いかで見分けますが、毛なのか芒なのか、慣れないとわかりにくいですね。ほかにも、束になって生育するススキに対して、オギは一本ずつ生育するとか、葉の幅が狭いススキに対して広めのオギといった識別点があります。
いずれにしても、大切なのはこの形です。中秋の頃はまだ実っていない稲穂に見立てた、あるいは神様が宿るものという意味合いがあるので、お月見にオギを飾ってしまったからと言って間違いではありません。

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日本鳥学会大会に参加してきました

9月14日から17日に新潟大学で行われた日本鳥学会大会に参加してきました。
生物担当学芸員が、自然環境観察員制度の全体調査の一環で行われている相模原市内のツバメの巣の分布調査について再解析を行った結果をポスター発表しました。

ポスター発表

市町合併を経て調査方法が変更されるなどして、比較しにくくなっていた調査結果を観察員さんや北里大学の協力を得て、改めて学術的な解析を行いました。方法や考察について、同じように市民調査を行っている機関や研究者からも建設的なアドバイスをいただき、とても有意義なディスカッションが行えました。この結果については11月17日~18日に予定されている学びの収穫祭でも発表する予定です。
また、大会の中で公開シンポジウム「トキの放鳥から10年:再導入による希少鳥類の保全」が行われました。

新潟市内の朱鷺メッセのホールで行われたシンポジウム

トキやコウノトリ、ヤンバルクイナなど絶滅の危機に瀕した鳥類の保全の最前線について、現場の研究者の興味深い話題提供がありました。
最終日は佐渡島へ渡り、野生復帰(再導入)したトキと生息環境などを視察しました。

鴇色(ときいろ)の美しい成鳥

繁殖期がそろそろ終わり、羽が抜け替わって鴇色(ときいろ)が一番美しい季節です。佐渡の田園風景に溶け込むトキの姿は、息をのむような美しさでした。

田園風景に溶け込むように生息していました

警戒心がとても強く、かなり遠くからでないとこのような休息風景が見られません

ところで、佐渡島は地域を挙げてトキをシンボルにしています。至る所にいろいろなトキがいました。

トキのもり公園の名物ポスト(現役です!)

佐渡の牛乳パックはこのとおり。

飲み終わった後に開くとトキになります!

佐渡島のトキは現在、野生状態に350羽以上いて、地域のバックアップもうまく進められているように見えます。しかし佐渡島は、過疎や高齢化といった地方の人口問題が凝縮されたような地域です。そうした中で今後トキの保全をどのように進めていくのか、とても難しい問題を抱えています。地域だけに押しつけることなく進めていかれるか、私たちにも突きつけられた問題だと改めて感じました。

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天文展示室をちょっとだけ展示替え!

みなさんは、昨年度のJAXA相模原キャンパス特別公開の時に、博物館の大会議室で開催された8月の「さがみはら宇宙の日」「はやぶさ2」トークライブVOL.10「JAXA相模原キャンパス特別公開スペシャル」のことを覚えてらっしゃるでしょうか。

午前の部は吉川先生によるミニ講演会を2回、午後は大西宇宙飛行士と津田プロマネの対談を3回という特別なプログラムでした。

当日は満席に次ぐ満席!

各回180人定員の大会議室が熱気に包まれました。

その後、一度宇宙に行って戻ってきた、まさにその模型を博物館エントランスに展示させていただいていたのですが、このたび、資料の保存の観点等から、天文展示室に展示することといたしました。天文展示室のほかの展示も微調整してありますので、しばらくぶりの訪問の方にはかなり目新しくなっているかもしれませんね。

さて、今まで模型を置いていた展示ケースには、はやぶさ2模型と、とある記念グッズの扇子が展示してあります。これらは今まで天文展示室内に展示してあったものです。

エントランスの展示ケースに注目!

どちらも大変レアな展示品です。もし今まで目に入っていなかった・・・という方は、エントランスと天文展示室、どちらの展示もぜひご覧くださいね。

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宇宙の日作文絵画コンテスト、受賞おめでとうございます!

「宇宙の日」である9月12日に、7月31日を締切として募集していた、平成30年「宇宙の日」記念行事 全国小・中学生作文絵画コンテストの全国審査結果が発表されました。

応募のみなさんありがとうございました。

昨年度の入賞に引き続き、今年度も当館にご応募いただいた作品の中から素晴らしい入賞作が出ました。

作文の部では、川崎市立東生田小学校4年 本田伊紗也さんが「土が開く太陽系の秘密の扉」で小学生部門グランプリ・文部科学大臣賞を、絵画の部では、町田市立町田第三小学校5年 荻野 勇さんが小学生部門宇宙航空研究開発機構理事長賞を受賞されました。

2018年小学生部門宇宙航空研究開発機構理事長賞受賞作品

受賞おめでとうございます。

その他の賞も含め、今年度の受賞作はこちらでご覧いただけます。

受賞作は10月12日までは文部科学省情報ひろばなどで巡回展示の予定です。

当館での展示予定は決まり次第お知らせしますので、どうぞお楽しみに。

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考古分野の博物館実習2018(完)

考古分野の博物館実習が全日程を終了しました!当館では専門分野別の実習は6日間あり、大学で考古学を専攻している実習生3名には、直接考古資料を扱った実習を受けてもらいました。

①市民協働に関する実習として、ボランティアグループ「相模原縄文研究会」と考古資料を学校教育に活用できないか、学習支援プログラム作成の検討

②相模原縄文研究会と日頃行っている大日野原(おびのっぱら)遺跡の縄文土器の整理作業

③鉄製品のサビによる劣化防止のための保管方法による処置

④縄文土器と石器の写真撮影

⑤考古資料の収蔵管理のための出土品再整理作業

⑥展示の企画検討と展示候補の資料調査

⑦展示作業

縄文土器の写真撮影実習

後半の3日間は、実習生自ら初めて行う展示です。まずは何を展示するのか、どう展示するのか、コンセプトは何かを3人で話し合って作っていきます。今年のテーマは「勝坂式土器の多様性」。そして展示準備がスタートしていきます。

①発掘調査報告書から勝坂式土器の資料候補を調べてリスト化

②収蔵データベースから候補資料の収蔵場所を確認

③収蔵庫から候補資料を取り出して資料の事前調査

④展示資料の絞り込み

⑤展示品、パネルの展示ケースのレイアウト検討

⑥パネル作成のための土器細部の写真撮影とデータの加工処理

⑦パネル・キャプション原稿作成、紙への打ち出し、のりパネルによる作成

⑧展示ケース内のパネル設置

⑨展示資料の搬入と展示台を用いた列品作業

⑩展示資料(土器)のテグスを使った固定

⑪キャプションの配置

パネル作成(切り方にもコツがある)

パネル設置(展示資料とのレイアウトも考えて)

列品作業(見せ方に現場合わせで微調整)

テグスで土器を固定(展示資料をしっかり守る)

もちろん、実習生が進めていく過程で、担当学芸員としてアドバイスや、さまざまな技術指導をおり混ぜ、展示開始に間に合うよう進行管理させてもらいました。

展示はというと、一つの展示ケースではありますが、3部構成によって勝坂式土器の多様性を来館者に伝える内容になっていて、展示方法にも随所に実習生の工夫があります。この実習生展は考古・歴史・民俗・地質・生物・天文の6分野からなり、10月21日まで特別展示室にて開催しています。次代を担う“学芸員のタマゴ”の展示に、多くの方のご来館をお待ちしています。

博物館実習生展はじまる!

実習生には博物館実習を通して、実際の学芸員としての業務や必要な知識・技術などが多岐にわたることを、身をもって体験してもらいました。

考古分野の実習生の皆さん、がんばりましたね。本当にお疲れ様でした。

考古の実習生と勝坂式土器の展示

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市史ミニ展示「相模原市史続編を彩った資料」実施中!

市史ミニ展示「相模原市史続編を彩った資料」を、博物館の常設展示室(歴史展示室)で実施中です!

この展示は、本年2月に17年の歳月をかけて刊行を終了した相模原市史続編の完成を記念したもので、10月7日(日)に開催される市史講演会(詳しくはこちら)に関連する資料の一部をご紹介しています。

ミニ展示全景

今回は、相模原が「市」として産声をあげた昭和29(1954)年11月20日に行われた、市制祝賀式の際の写真や、当時の神奈川県知事から贈られた墨痕鮮やかな祝辞(現物です!)を展示してあります。

市制祝賀式(昭和29年11月20日)に寄せられた、神奈川県知事内山岩太郎の祝辞

 

 

 

 

 

 

 

相模原市の歴史に興味をお持ちの皆様、ぜひ博物館においでになり、貴重な資料をご覧ください。

 あわせて、市史講演会(詳しくはこちら)へのご来場もお待ちしています!

相模原市史続編』・『津久井町史などの刊行物も絶賛販売中です!よろしくお願いします。

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クサグモの卵のう

博物館の入口前にあるクモの住居をのぞくと、こんなものがありました。

網の奥にある幾何学的な白い物体

クサグモの卵のうです。
一辺2-3cmの幾何学的な形をしています。こんな形の卵のうをつくるクモは他にありません。材質はもちろんクモの糸で、丈夫で分厚いシートになっています。
中は意外にふわふわした糸が入っていて、数10-100個ほどの卵を保護しています。
実は、8月末に卵でお腹がパンパンになった母グモを見かけたのがこの場所でした。

上の卵のうの生みの親。お腹が大きく膨れています(8月29日撮影)

しばらく忘れていたのですが、久しぶりにのぞいてみると、果たして無事産卵を済ませていました。
ただ、クサグモの卵のうは、寄生蜂の餌食になることも結構あります。母グモがしばらくガードしていることもあるのですが、どうやらこの網にはいないようです。ちょっと心配ですが、このまま来春まで無事にいてくれる事を祈ります。

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