11月27日、市内の希少な植生の状況を調査するため、相模原市の文化財審議会委員の方と、相模原植物調査会有志で緑区の小倉山へ入りました。
晩秋の山と言えば、この花。コウヤボウキです。

コウヤボウキの花
すでに紅葉は終盤でしたが、イタヤカエデの見事な紅葉が林内のあちらこちらで見られました。

イタヤカエデの紅葉
小倉山は、コンクリートの骨材を採取するため、現在、山頂を含む北側斜面全体が掘削されています。山頂も消失しているため、登山道は途中で立入りができなくなっています。入れる登山道の、元山頂があった場所に一番近い場所に、だれが置いてくれたのか、山名の書かれたかわいい石標がありました。

山名の書かれたかわいい石標
目指すは、この地域では珍しいスダジイ林です。西日本の暖地に多い植生ですが、なぜか小倉山には尾根筋にスダジイ林が残っています。アップダウンの多い道を進み、スダジイやタブノキ、イズセンリョウなど暖地性の樹木の多い林内を歩きました。

アップダウンの多い山道でした
もうひとつ、暖地性のシダ植物であるホソバカナワラビも大群落を作っています。

ホソバカナワラビ
10年ほど前に、相模原植物調査会でこの樹林を詳細に調査しましたが、ほぼ、それ以来の訪問でした。枯死した樹木があったり、若齢木の背が伸びていたりと変化は見られたものの、スダジイ林がそこにあって安心しました。
ところで、帰りに林道から少し入ったところで、同行のお一人が思わぬ植物を発見しました。リンボクです。

リンボク
相模原市内では初めての確認であるだけでなく、県内では現在、県西部の湯河原にしか自生地が確認されていない希少な植物です。
幼植物もたくさん芽生えていたので、こちらも引き続き注目していこうと思います。
(生物担当学芸員)


