ぶんぶん丸

今日午前中、大変珍しい絶滅危惧植物の情報が入り、その確認のために相模原のちょっと南の先の横浜市旭区へ行きました。その絶滅危惧植物についてはまた改めてご報告するとして・・途中歩いていると、カラムシ(イラクサ科)の群落がありました。カラムシがあるということは・・・

嫌いな方には申し訳ないのですが、フクラスズメという蛾の幼虫です。逆さまにとまっている上にイナバウアーをしています。これがこのイモムシのふだんの姿勢です。成虫も美しい蛾ですが、イモムシもびっくりするくらいオシャレな色合いです。でも、このイモムシはオシャレなだけではありません。つんつんとつつくと、イナバウアーポーズのままぶんぶんと頭を左右に振ります。

私は密かに“カラムシのぶんぶん丸”と呼んでいます。なぜこんなことをするのか?おそらく威嚇のためでしょう。でも、人間に対しては子どものよいおもちゃになってしまって、フクラスズメには申し訳ないのですがあまり緊迫感がありません。
フクラスズメと遊びつつちゃんと絶滅危惧種を確認して写真も撮ってきたのですが、この場所でもう一つ、会っておきたい植物がありました。

なんの変哲もない、路傍の雑草に見えます。でも、この植物の日本語名は私が数年前に付けた「アレチアミガサソウ」という名前しかありません。どの植物図鑑にもまだ載っていません。そう、日本新産の外来植物なのです。

中米原産のトウダイグサ科の植物Acalypha setosaという植物であろうことまでは突き止めたものの、なぜそんな植物がここにあるのか、さっぱりわかりません。神奈川県植物誌調査会の会報に投稿しただけなので全国的にはまだ十分に認識されていませんが、ともかく「超珍しい」外来植物なのです。
今年も元気に咲いていました。外来植物なので喜ばしいことでもないのですが、正直言ってなんとなく愛着が沸いています。
(生物担当学芸員 秋山)

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