里山保全の最前線

3月27日、博物館の専門ボランティアグループとして活動する相模原植物調査会のみなさんと、市内の里山保全が行われている現場を視察に行きました。
少し風が強めで春らしい晴天の中、環境保全に興味のある高校生と大学生を交えて20名以上が参加しました。
まずは南区の斜面林です。

活動メンバーから説明を聴く参加者

アズマイチゲ、イチリンソウ、ヒメニラ、ヤマエンゴサクなど、南区ではこのあたりにしか残っていない希少な植物を中心とした保全活動の現場では、活動の中心メンバーから生育株数のモニタリングの結果や、日照を確保するための管理作業のようすなどを伺いました。
その成果のひとつとして開花中のヒメニラです。

ヒメニラ

ヤマエンゴサクも美しい藍色の花を咲かせていました。

ヤマエンゴサク

この斜面林では、タカオスミレが多いのも特色です。

タカオスミレ

たっぷりと春の花を堪能した後、同じく南区の平地林へ移動しました。ここでも地元の団体がしっかりと調査と保全活動を行っていて、林内に咲くキンランやギンラン、アマナなどの株数を毎年数えています。キンランとギンランの開花はまだ1ヵ月ほど先になりますが、ミミガタテンナンショウが咲いていました。

ミミガタテンナンショウ

この場所に限りませんが、薪炭材としての需要がなくなった里山はどこも高木化していて、さらに追い打ちをかけるように「ナラ枯れ」と呼ばれる病害虫被害が出始めています。今後の管理のあり方などについて、現地でディスカッションしました。

保全管理の方向性について意見交換

どちらの里山も、地元の方たちの愛情によって守られ、管理されています。特に、株数のモニタリングや、これからの時期のヤブ蚊と戦いながらの作業は想像しただけでも大変なことで、身近な自然への愛情なくしては続けられないでしょう。市民活動としての環境保全の最前線は、次代を担う若い参加者にも大いに刺激となったようです。帰りがけに、国道16号線のある場所で街路樹の植え込みを観察しました。ここはどういうわけか、県内でもこの場所にしかない外来植物のニセカラクサケマンが生育しています。

ニセカラクサケマン(外来種)

ニセカラクサケマンという名前がいかにも外来種、という感じですが、周辺にほとんど広がりもせず、絶えることもなく15年ほど前から生育しています。在来生態系への著しい影響も無いので、とりあえず毎年、ようすを見守っています。

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