令和2年の標本レスキュー開始

7月23日、博物館にずっしりと重い段ボール箱が2箱届きました。
これは、7月4日に熊本県の球磨川の水害によって被災した、人吉城歴史館所蔵の前原勘次郎植物標本の一部です。

被災標本が入ったダンボール箱

収蔵庫が2メートル以上浸水し、納められていた資料のほとんどが水没してしまいました。
当館では平成23年にも、東日本大震災の津波被害に遭った陸前高田市立博物館の植物標本のレスキュー(洗浄と乾燥など)を行いました。作業にあたった相模原植物調査会のみなさんと、そのノウハウと技術を生かそうと、今回もレスキューに参画することにしました。
箱を開けてみると、完全に水没していたようで、たっぷり水を含んだ上に泥がかなりかぶっています。

中には水をたっぷり含んだ植物標本が

現地の報告によると、被災した標本は約33,000点、ダンボール箱にして数百箱になるようです。全国各地の博物館や大学、植物園などがレスキューに名乗りを上げ、分散して作業を進めています。

標本をはさんだ新聞紙が歴史的な資料であることを物語ります

標本の多くが70年以上前に採集され、学術的に極めて重要な標本です。カビ対策など作業者の安全をはかりながら、慎重に洗浄作業を進めていこうと思います。

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