「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No48・三月節供)

3月3日は三月節供で、女児の誕生と成長を祝うひな祭りが行われ、女の子が生まれると初節供としてひな人形などが親戚から贈られます。これらの人形は、2月中の縁起の良い日に座敷に飾り、3日を過ぎるとすぐに片付けることが普通でした。

写真は、文化財記録映画第9作「続・相模原の年中行事」制作の際に緑区大島で撮影(平成2年[1990]3月)されたもので、記録用のためモノクロ写真ですが、たくさんの段飾りのひな人形やガラスケースに入った人形が飾られています。

 

人形には、ひし形に切って重ねた菱餅や赤飯・アラレの他にハマグリも供えられ、右手手前に見えています。人形などを贈ってきた家へは、こうした菱餅やハマグリなどをお返しとしました。

 

そして、特に初節供の時には、盛大に親戚や近所の人を招いてお祝いをしました。

また、三月節供のひな人形には移り変わりもありました。次の写真は南区下溝の旧家で昭和10年(1935)に飾られたもので、御殿の中に人形が見えます。昭和初期にはこうした御殿飾りが出てきて、その後、現在のような段飾りが主流となりました。

最後の人形は女の子誕生に伴うのではなく、結婚して初めて三月節供を迎えた際に、お嫁さんの実家から贈られたオクリビナです。これは約50㎝ほどの大きさ(台座含む)で、大正5年(1916)に中央区上溝から同区田名に嫁入りした方のものです。

オクリビナは、ほかに例えば南区当麻や上鶴間からも報告されており、あまり有名ではないものですが博物館で保管している資料から紹介しました。今後とも機会をとらえて館蔵資料の紹介をしていきたいと思います。

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