「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No56・養蚕の祈願③)

前回・前々回には、主に相模原地区を中心とした養蚕に関する行事や信仰の写真を紹介しましたが、もちろん津久井地域も養蚕は大変盛んでした。

最初の写真は緑区佐野川地区の蚕影山(こかげさん)神社で、津久井地区の各地にこうした蚕の神がまつられていました(平成19年[2007]3月29日撮影)。

 

前々回紹介した、女性が集まって繭がたくさんできるように祈る講も行われており、次の写真は緑区青野原地区の「おこもり」と呼ばれる行事です。養蚕の作業が始まる5月には火事よけと養蚕がうまくいくように、6月は火事もなく無事に養蚕ができたお礼として、女性たちがおこもりを行いました(平成25年[2013]6月10日)。

 

津久井地域には、二十三夜塔が100基以上というようにかなり多く、二十三夜塔は蚕の神がまつられているとする伝承もあって(『津久井町郷土誌』)、地域の養蚕の進展に伴って各地に建てられたと考えられます。

写真は、緑区三ヶ木(みかげ)地区の文化14年(1817)建立の二十三夜塔で、津久井地域の二十三夜塔の中でも早い時期に造立されたものです。下の写真は、緑区千木良地区の二十三夜講で飾られた掛軸で、蚕の女神が描かれています(平成22年[2010]1月9日)。

また、緑区根小屋(天保5年[1834])には、破損が大きいものの二十三夜と蚕影大明神(こかげだいみょうじん)の文字が並んで記されたものがあり、緑区長竹の養蚕大権現塔(ようさんだいごんげんとう・寛政9年[1797])は勢至菩薩(せいしぼさつ)が彫られており、二十三夜講では勢至菩薩をまつりました。

今回は、養蚕に関わる石仏として主に津久井地域の二十三夜塔について触れましたが、このほかにも例えば、緑区与瀬の蚕霊塔(慶応元年[1865])など、市内各地には注目されるものが見られます。次回はそうした石仏を取り上げたいと思います。

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