「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No67・盆棚)

前回は、夏場の祭りを代表するものとしてオテンノウサマ(お天王様)を取り上げましたが、同じ暑い時期の年中行事としてお盆があります。盆行事は各家で盛んに行われ、これまで多くの写真を撮影してきました

本ブログでもNo.20~23で盆行事を紹介しています。今回は盆に際して家に帰ってくる先祖のために、仏壇とは別に盆の期間中に作る盆棚の写真について、前回掲載しなかったものを中心に紹介します。

最初から四枚目までは南区当麻で、いずれも昭和62年(1987)8月13日に撮影したものです(最初の写真はブログNo.21でも掲載)。これらの四軒はお近所同士で、棚を出して位牌などを置き、前側に竹を立ててホオズキやトウモロコシなどを下げ、後ろに掛け軸を飾っています。それでも供え物など細かくは異なっているところもあり、なるべく多くの家を回って写真を撮ることも大切で、それぞれの家で撮影させていただきました。

 

次の四枚の写真は緑区相原で、この地区は7月に盆を行うため平成元年(1989)7月14日撮影です。この家では、周りに障子(しょうじ)を立てて三方を囲って小さな部屋を作るのが特徴で、他の家ではあまり見られません。


                  

台の部分はゴザで見えませんが樽(たる)の上に板を置き、やはり前側の竹にトウモロコシなどを下げています。

また、No.21で記したように、棚の上にお供えをするほかに、下側にも無縁仏のために供え物をしています。

 

最後の二枚の写真は、文化財記録映画「相模原の年中行事」の際のもので、平成元年(1989)8月・南区新戸地区での撮影です。ここでは、蚕に桑を与える時などに使う給桑台(きゅうそうだい)を置き、その上に戸板を乗せてゴザを敷きます。

やはり盆棚の供え物のほか、棚の下にも地域の夏場のごちそうである酒まんじゅうなども供えられています。

 

以前はかなり盛んに行われていた行事が、現在ではなくなっていることも多い状況において、こうした写真が保管されているのは貴重であるとともに、今後、どのように変化しているかを探るためにも重要な資料と言えます。

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