「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No74・伝説③ 水にまつわる伝説)

前回の「木」に引き続き、今回は「水」がテーマです。

最初の写真は、南区当麻の「笈退り(おいしゃり)」です。前回、時宗(じしゅう)を開いた一遍上人(いっぺんしょうにん)ゆかりの「なぎの木」を紹介しましたが、「笈退り」は一遍上人が杖で地面に穴を開けて清水を出し、その水が勢いよく湧き出したため、上人の笈(宗教者が荷物を入れて背負うもの)を後ろにそらせたなどと言われています(平成11年[1999]12月撮影)。

 

次の写真も笈退りと同様に清水が湧いている場所で、南区下溝の「おみたれ水」です。隣りに地域の神社である十二天神社があり、神社の下から湧き出ているきれいな水として、各地から水を貰いに来たと言います。また、この水が流れる沢では、かつてワサビが作られていました。市内でワサビ作りが行われていたことは、本ブログNo.12でも紹介しました(平成3年[1991]7月)。

 

これも前回に取り上げた照手姫(てるてひめ)の伝説では、中央区上溝から流れ出る姥川(うばがわ)の泉で照手姫は産湯(うぶゆ)をつかい、成長してからはお化粧の水に用いたとされます。河川改修で水源の泉はなくなりましたが、その跡に建てられていた照手姫伝承遺跡の碑は、横山丘陵緑地の姥沢地区内に移設されています(平成25年[2013]3月)。

 

もう一つ緑区小原の底沢地区にも、照手姫の化粧場だったという渓谷に「七ツ淵」があり、照手姫誕生の地とされています(平成28年[2016]5月)。

 

最後の写真は緑区佐野川・和田地区の「雨乞い淵」です。職員ブログでは「相模原ふるさといろはがるたでみる名所紹介」のシリーズもありますが、そのNo.36で、緑区川尻や緑区日連(ひづれ)の雨乞いの池を取り上げました。雨を降らせる際に祈願をする水場が各地にあったことが分かります。なお、和田地区は急斜面にお茶畑が広がり、この地区を含む佐野川全域が「にほんの里100選」に選ばれています(平成20年[2008]3月)。

水というと、川や橋など関連する事柄が多くあり、ここで取り上げたのは水に係わるもののごく一部です。今後も石や塚など、さまざまな内容に触れていきたいと思います。

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