夏の白い花

季節によって咲く花の色の傾向があるわけではありません。でも、なんとなく、夏の花は白が目立つように感じられます。その一つがクサギです。

クサギの花

この花は香りも強めで、満開のときには甘い匂いが付近に漂います。秋に実る果実もまた独特で、萼(がく)が赤く星形に開き、その中央に黒紫色の果実がつきます。

クサギの果実(秋に撮影)

見事なコントラストで、野鳥たちに果実が熟したことを知らせます。このような色の組み合わせを二色効果と呼びます。
近くでは、こんなつぼみもありました。カラスウリです。

カラスウリのつぼみ

しかしこの花は、昼間は咲きません。夜になると、レースを広げたような見事な花が咲きます。

カラスウリの花

なぜ夜に咲くのかというと、この花は蛾を呼び寄せて花粉を運ばせるからです。スズメガの仲間などがこの花が放つ芳香につられてやってきて、蜜を吸いつつ花粉を体へつけます。闇夜にそんな営みが行われるのであれば、香りだけで花弁は不要なのでは・・と思ってしまいますが、香りだけではさすがに目立たせることが難しいのでしょう。スズメガからこの花がどんなふうに見えているのか、気になりますね。
(生物担当学芸員)

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