水路の清掃

2月20日、中央区の田名公民館が主催の農業用水路の清掃作業が行われました。
公民館がなぜ用水路の清掃?と思われるかもしれません。その理由は、こちらです。

ゲンジボタル(6月に撮影)

この用水路は、市内でも有数のゲンジボタルの発生地なのです。もちろん真冬のこの季節に成虫はいませんが、今、幼虫は水の中で静かに暮らしているはずです。そして、ゲンジボタルが生息する水路にはいくつかの環境条件が必要です。まず、幼虫の食料となるカワニナという淡水性の巻貝が豊富であることです。カワニナは、川底の石などに付着する藻類を食べるので、藻類が増えるためには、一年中ある程度の水の流れがあり、川底に泥が堆積しすぎないことや、日差しが川面に届くことが重要です。もちろん、ホタルに似つかわしくないゴミが堆積するのもよくありません。
そこで、地元のホタルを大切に守るため、公民館が声かけをして水路の清掃・整備作業を行っているというわけです。博物館でも毎年、ゲンジボタルの観察・調査を行っているため、学芸員が作業に参加しました。

集合して作業の説明をきいています

用水路を管理する組合のみなさんの協力で、いったん水を止めて水路に入ります。

滑る川底に気を付けながらゴミや落ち枝などを拾い集めます。

遊歩道から見下ろすとあまりゴミが落ちていないように見えるのですが、小一時間拾っただけで、これだけ集まりました。中には灯油のポリタンクなどもあり、これが劣化して中身が漏れ出したりしたら大変です。

集められたゴミ

さらに、水路に覆いかぶさるように伸びた木の枝も、一部を切りました。ゲンジボタルが明滅(めいめつ)飛行する空間も大切です。

枝打ちはごく一部の場所だけでしたが、大量の剪定枝が出ます

ゲンジボタルが生息するには、他にもいくつかの条件がありとてもデリケートな環境です。そして何より重要なのは、この水路の場合は稲作のための水を運ぶ農業用水路であるという点です。

作業終了後の記念撮影

水田の作業とともに、用水路の環境整備が行われて初めてゲンジボタルの生息が保障されます。今年もまたたくさんのゲンジボタルの光る姿が見られることを願いつつ、作業を終えました。

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