博物館収蔵資料紹介~酒まんじゅう作りの道具

先頃まで掲載していた、職員ブログ「写真に見る昭和・平成の相模原」No.18にも紹介しましたが、相模原及び周辺地域の夏場のごちそうに「酒まんじゅう」があります。この地域を代表する食物であるまんじゅうを作るにも、いくつかの道具が使われました。

最初の写真は「まんじゅう笊(ざる)」(収集地・中央区上溝)で、でき上がった酒まんじゅうを入れて保管するものです。前回の籠(かご)や笊でも記したように、入れるものが決まった籠や笊があり、まんじゅう笊などはその代表的なものと言えます。                  

 

酒まんじゅうは、炊いた米と水、麹(こうじ)を混ぜた「まんじゅうざけ」と言われる甘酒のでようなもので小麦粉をこねるため、独特の風味が生まれます。写真は、まんじゅうざけを作る「まんじゅう桶(おけ)」「さけ桶」(南区下溝)と呼ばれる小さな桶で、さけを掻くのはおばあさんの仕事であることが多く、この桶を大切にしていました。

桶は木製で、籠や笊と違って液体を入れても漏れることがなく、さまざまな用途に使われましたが、まんじゅう桶などもさけを掻くための専用の容器でした。                 

 

次の写真は「こねばち」(緑区大島)で、酒まんじゅうだけでなく、うどん等の麺類や団子の粉をこねる時に使いました。粉とまんじゅうざけを入れてこね合わせ、丸い形にしていきます。このこねばちは、明治35年(1902)生まれの方からの寄贈で、いつから家にあったか記憶にないほど古くから使っていたとのことです。                   

 

餡(あん)を入れて丸めた酒まんじゅうは少し置いて発酵させ、それから蒸していきます。まんじゅうをはじめ、赤飯や餅つきで糯米(もちごめ)を蒸したりするには蒸籠(せいろ・せいろう)を使い、写真のように曲げ物の丸型(中央区星が丘)と、木製の角形(南区当麻)があります。

いずれも重ねて一度に多くのものを蒸かすことができ、中には竹の簾(すだれ)も見えています。丸型は「はやぶかし」とも呼ばれ、こちらを使う方が多かったようです。                  

 

酒まんじゅうは、今でも和菓子屋などで販売されているのを見かけることも多く、地域の文化を知る機会を提供しています。

※「写真に見る昭和・平成の相模原」No.18には、今回取り上げた道具を使用している写真を掲載しています。

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