鶯色の真実

みなさんは鶯色(うぐいすいろ)と聞いて、どんな色を想像しますか?
下の二つの色見本のうち、どちらが鶯色でしょうか。

鶯色とはどちら?

現在は、鶯色というと右の色を指す人が多いようです。
しかし、鶯色は、左の色です。右は、萌黄色(もえぎいろ)で、どちらも日本の伝統色と言われ、言葉としても古くから布地の染色などに使われてきました。
実際、ウグイスは下の写真のような色合いです。

ウグイス

さえずりの美しさに比べてずいぶんと地味に見えますし、滅多に明るい場所に出てこないため、ウグイスの声は知っているけど見たことはない、という人が多いと思われます。
そして、鶯色の誤解を決定づけたのは、花札でしょうか。「梅に鶯」という札に描かれた鳥の色合いが、萌黄色や浅緑色(あさみどりいろ)などに近いものでした。お似合いの組み合わせで粋(いき)を表現したものと思われますが、実際に梅の花が咲くころによく梅の木にとまるのは、メジロです。

梅の花の蜜を吸うメジロ

つまり、メジロの色合いが札に描かれたことで、それが鶯色と混同されてしまったようです。ウグイスは薮の中が好きなので、梅の花の咲く枝にとまることはめったにありません。
他にも、和菓子でうぐいす餡(あん)やうぐいす餅などというと、たいていは黄緑色に近い色です。間違いというよりは、意図的に食欲をそそる色合いを出しているのかもしれません。
ちなみに、現在放送されているNHKテレビの「テレビ体操」という番組のタイトルバックにも、梅の花と小鳥が登場します。そこにはしっかりとメジロと識別できるイラストが描かれていました。

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