ミシマサイコ

相模野台地の古地名である柴胡の原(さいこがはら)とは、江戸時代後期にこの地を旅した渡辺崋山が遺した『游相日記』に記されています。秋、台地を一面、黄色く染めたと言われるほど咲いていたミシマサイコも、現在はまったく見られません。江戸時代中後期に、生薬である柴胡の原料として根を掘り取られたことや、秣場(まぐさば:牛馬の飼料を育成した草地)から雑木林へと土地利用が変遷したことなどにより、相模野台地から姿を消したと思われます。そんなミシマサイコが今、市内の各地で咲いています。

ミシマサイコの花

これは、相模原柴胡の会などが古地名にちなんだミシマサイコに親しんでもらおうと、各所で栽培したり、種子を配布しているためです。ミシマサイコはセリ科の多年草で、花期は8月~9月です。とても小さな黄色い花がまとまって咲きます。

1つの花は2ミリメートルほどしかありません

南区下溝の横浜水道相模原沈殿池近くの栽培地でミシマサイコの写真を撮っていたら、たくさんのカメムシがついているのに気づきました。

アカスジカメムシ

赤と黒のストライプがとてもオシャレです。アカスジカメムシといい、セリ科が大好きなカメムシです。接近中の台風の影響で時折強い風が吹く中、なんとかアカスジカメムシの写真も撮ることができました。
(生物担当学芸員)

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