今日のおかいこさま(6/25:玉繭)

繭をつくり始めてもう1週間。中身はすでに蛹へと脱皮しているはずです。そろそろ、乾燥処理をしなくてはいけません。生きものを殺すわけですから、「かわいそう」という気持ちがないわけでもありません。しかし、養蚕はあくまでも、繭をとることが目的です。成虫にするのは、系統保存やタネ(卵)の生産などごく限られた目的の場合のみです。そこをはき違えないようにしないと、カイコを育てることはできません。

さて、6/20の記事でご紹介した、2頭で1つの繭をつくってしまうパターンですが、こんな繭ができました。右側が2頭でつくった繭、左側が通常の繭です。

このような繭を「玉繭(たままゆ)」と言います。実際、形が丸いですね。生糸にするにはこの後、十数個の繭から繊維を1本ずつ取って撚(よ)るのですが、玉繭は中で2本の繊維が絡み合っているので、うまく取り出せません。そこで、このような繭はお湯でほぐしていき、正方形にひろげます。それが、「真綿」です。結構な頻度でこの玉繭ができるので、玉繭だけを別に集めて利用したというわけです。それにしても今、真綿がシルクであるということも一般的には忘れ去られようとしているようです。

ところで、6/23の記事でご紹介したクワコですが、くどいようですが、もう1枚。ほんとうにカッコイイ!この脚、触角、眼!自然の造形美ですね。

(生物担当学芸員 秋山)

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