啓蟄の樹林で

3月5日は二十四節気の啓蟄(けいちつ)です。冬ごもりしていた虫などがはい出るという意味ですが、外は寒空が広がり、雨も降ってきました。そんな中、前日の3月4日に博物館お隣の樹林地ではこんな鳥を見かけました。

ヒレンジャク(3月4日)

ヒレンジャクです。ここ数年、きまって啓蟄の頃を中心に飛来して、半月から20日ほど滞在します。多い年は80羽近い群れになったこともあります。今年はまだ7羽の群れですが・・。
ヒレンジャクは、ヤドリギの果実を好んで食べることが知られています。しかし、この樹林地にはヤドリギは3株ほどしかなく、しかも今年はあまり熱心に食べている様子がありません。

地面に落ちていたヤドリギの果実と葉

それよりも、地面の近くのヤブランの果実を盛んに食べていました。また、コナラの幹に着いているコケ類もついばんでいました。

コケを食べるヒレンジャク

コケ類は、巣材として利用されることはあっても、あまり鳥に食べられることはありません。ヤドリギも、ヒヨドリなどが少し食べる程度で、他の鳥はあまり好まないようです。ヒレンジャクの好みは不思議ですね。
足元では、シロバナタンポポが咲いていました。

シロバナタンポポ

もともと九州や四国の自生種ですが、種子が人や物の移動に乗ってきたのか、博物館周辺では数は少ないものの、毎年咲きます。カントウタンポポは少し遅れて咲きだすので、今年はまだ咲いていません。
ヒレンジャクの群の数が増えてくると、少数ですが、近縁のキレンジャクが混じることもあります。これから数が増えるのか、いつまでいるのか、樹林地からしばらく目が離せません。
(生物担当学芸員)

【博物館再開のお知らせ】相模原市立博物館は館内エレベーターの改修工事のため、令和6年2月29日まで休館しておりましたが、3月1日から通常どおり開館しています。3月のイベント情報など、詳しくはこちらをご覧ください。

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