市内の住宅街の路傍などに、とても刺々(とげとげ)しい植物の巨大な株が目立っています。アメリカオニアザミです。

アメリカオニアザミ
その名から想像できるとおり、外来植物です(ただし、原産地はヨーロッパと言われています)。21世紀に入るころから各地で目立ち始め、特にこの15年ほどで急速に分布を広げました。

アメリカオニアザミの花 トゲはとても鋭い
アザミの仲間はどれもトゲがありますが、例えば春に明るい草原などに咲く在来のノアザミはこちらです。

ノアザミ(在来種)
アメリカオニアザミに比べると、むしろかわいらしく見えます。
アメリカオニアザミは乾いた路傍でも生育し、茎が伸びてくるころには鋭いトゲが全草から出ているため、うっかり手を出すと怪我をしてしまうので手に負えません。おまけに、たくさんの花からたくさんの種子を作るので、繁殖力も旺盛です。

種子をつけたアメリカオニアザミ
まだ特定外来生物法では指定されていませんが、同法で定める生態系被害防止外来種のリスト(現在指定について検討中、あるいは注意を要する種のリスト)に入っているため、近い将来、特定外来生物に指定されるかもしれません。いずれにしても、私たちの生活に直接影響を及ぼす植物なので、今後も市域の分布状況を注視していきたいと思います。
(生物担当学芸員)