住宅街の街路樹の幹を、美しい青緑色のハチが歩いているのを見つけました。
すぐに見失ってしまったのですが、あのシルエットはもしや…ということで、あわてて自宅からカメラを持ってきてもう一度探すと……
いました!しかも、ちょうど獲物を狩っています。

クロゴキブリの幼虫を狩ったサトセナガアナバチ
このハチはサトセナガアナバチという種です。
ゴキブリを狩って幼虫の餌とすることで、虫が好きな人々の間では有名なハチです。
観察していると、ゴキブリの頭部と胸部の間に針をつきたて、麻酔となる毒を注入しました。
とはいえ、すでにゴキブリはかなりおとなしい状態だったので、観察開始時点ですでに一度麻酔をされていたのかもしれません。

腹部を曲げて針をブスリ!
その後、ハチは麻酔がきいたゴキブリの触角を引っ張りながら後ずさり、どこかに運んでいきます。
巣穴となる場所を探しているようです。
ゴキブリはおとなしく、ハチの言いなりになって引っ張られていきます。
麻酔が完全に効いて動けないわけではなく、じっとしているものの足で歩くことはできる、という絶妙な状態です。
ハチの麻酔のコントロール、お見事です。

ゴキブリを引っ張っています
ゴキブリの触角をよく見ると、最初と2枚目の写真では長い状態ですが、3枚目の写真では短く切られています。
2枚目と3枚目の写真の撮影の間、カメラにストロボをつけるために目を離したのですが、その間にハチが切り落としたようです。

獲物の周りを歩きます
それにしても美しいハチです。
思いがけず興味深い場面に出会うことができた昼下がりでした。
(動物担当学芸員)