博物館の前庭には、数年前からアレチヌスビトハギが目立つようになってきました。

アレチヌスビトハギの花
花はかわいらしいのですが“ひっつき虫”なので、結実すると衣類にびっちりとくっついてやっかいな存在です。

アレチヌスビトハギの果実
ところで、博物館前庭や周辺の樹林内にはもともと在来種のヌスビトハギが自生しています。こちらも代表的なひっつき虫なので、秋に調査で入るとズボンなどがヌスビトハギだらけになってかなりの困りものです。

ヌスビトハギの果実
ヌスビトハギの花はこちらです。

ヌスビトハギの花
アレチヌスビトハギとヌスビトハギはマメ科に属する近縁種ですが、見分けるのは簡単です。花はアレチの方が大きく全体がピンク色、果実はヌスビトハギが2つずつつながるのに対して、アレチは4~5つずつつながります。
葉も形が違い、ヌスビトハギは小葉(3枚一組になった葉の、1枚ずつの葉)が幅広です。

ヌスビトハギの葉
アレチは細長いのが特徴です。

アレチヌスビトハギの葉
ところで、外来種の中でも近縁の在来種がすでに分布している場合、その和名の頭に「アレチ(荒地)」とつけられることがよくあります。『神奈川県植物誌2018』のさくいんをめくると、アレチウリ、アレチノギクなどたくさん並んでいます。
こうした植物の多くは大陸の乾燥地などが原産であることが多く、日本では初期の造成地など荒涼とした場所で見いだされるためそんな名が付けられたのでしょう。外来種の名には他にもニセアカシア、ワルナスビなどあって、名付けた際の悪意というか、警戒心のようなものを感じます。
(博物館長・学芸員)


